【舞台ハガレンSP】蒼木陣×和田琢磨が明かす、意外な弱点も?「人力を活かした表現」と語る演出にも注目、舞台『鋼の錬金術師』3/8開幕直前インタビュー特集④

荒川 弘氏が描く、全世界シリーズ累計8,000万部を突破したダークファンタジーコミックスが初の舞台化! 舞台『鋼の錬金術師』が2023年3月8日より大阪・東京にて上演されます。

スマートボーイズでは開幕を前に、エドワード・エルリック役(Wキャスト)の一色洋平さん×廣野凌大さん、ロイ・マスタング役(Wキャスト)の蒼木 陣さん×和田琢磨さんにインタビュー。稽古に励む二組が語った公演への意気込み、Wキャスト相手への想いを、それぞれ前後編・全4回の特集にてお届けいたします。
いよいよ最終回となる本記事では、蒼木 陣さん×和田琢磨さんのインタビュー後編をお楽しみください。(一色洋平さん×廣野凌大さんのインタビューはこちら⇒ 前編 / 後編 )

■舞台『鋼の錬金術師』
ロイ・マスタング役 蒼木 陣さん×和田琢磨さん インタビュー

(左から)Wキャストでロイ・マスタング役を務める、和田琢磨さんと蒼木 陣さん
【インタビュー後編】 (インタビュー前編はこちら)
――「鋼の錬金術師」は登場人物たちが織りなす人間ドラマとともに、錬金術などのファンタジー要素も大きな魅力かと。今回の舞台上での錬金術の表現には、どのような面白さを感じていらっしゃいますか?

和田琢磨(以下、和田) 僕らは焔(ほのお)を使う錬金術師なので、今回ももちろんそういった演出はあるんですが、いかんせん、まだ舞台セットがない状態で稽古をしていますから、逆に僕らもどう見えるのかな、と楽しみにしているところでして(笑)。
ただ、エルリック兄弟にはいっぱいアクションシーンもあるので、とても見応えがあって楽しいものになっていると思います。

蒼木 陣(以下、蒼木) マスタングをやるにあたって、錬金術の面でも“どういう仕組みで炎になるんだろう?”と考えてみまして。対象物があって、その対象物の周りの酸素濃度とかを調節して、発火物がついている手袋で火花を起こして……だから、打ち上げ花火みたいな感じなのかな? そこまで火花が辿り着いて爆発する、みたいなことだと思うんですけど、もうちょっと深く考えると、実際の空中には酸素以外にも色んな物質があって、えっと……僕は理科が苦手だったので、まだゴールに辿り着けていないんですけど(笑)。

――ロイ・マスタングの二つ名、“焔の錬金術師”たる理屈を考えてみようと。

蒼木 実際、“何が起こって、ここに至っているんだろう”と考えると、涼しい顔ですごいことをやっていることへの驚きや発見もありますけど、やっぱり純粋にワクワクしますよね。ファンタジーの、現実じゃあり得ないようなことが起こっている世界を、舞台で生の人間がやるということの面白さをしっかりと伝えられたらな、と思いながらやっています。
蒼木 陣さん
――和田さんもこうした錬金術が描かれるような、ファンタジーの世界はお好きですか?

和田 好きですよ! 子どもの頃も「鋼の錬金術師」は「うわ~、アレすげぇ!」「かっけぇ!」みたいな感じで見ていました。
でもこのお仕事をいただいて、改めて大人になってから読んでみると、よりグッとくるところが多いですね。よりこの作品の“深み”みたいなものが感じられるようになって……今、この年齢でこの作品をいただけて良かったな、と思います。

――ちなみにロイ・マスタングには女好きなプレイボーイという一面もありますが、そうしたコミカルな面も、今回の舞台では描かれるのでしょうか?

和田 最初の登場シーンから、いきなりそういうセリフを言って始まるんですけど、それがちゃんとギャグとしてお客様に伝わるように、というのは意外と大事だよね。

蒼木 そこ、難しいですよね。

和田 本当に、冒頭から出てくるので……かっこよく出てくるのに、「アレ? あの人なに言ってんだろ?」ってなっちゃうのが怖いなって(笑)。

蒼木 きっと原作を知らない方もいらっしゃると思うので、登場シーンで「あ、こういうかっこよさと軽さの幅があるキャラクターなんだ」って、ちゃんと伝えられたらいいなと思います。

――ほか、マスタングの見どころとして今回意識されている点はありますか?

蒼木 僕は、これからの未来につながるマスタングになればいいなと思っています。

和田 今回はヒューズが物語の鍵を握っていて、そのヒューズに一番影響を受けるのがマスタングです。今回描かれる物語で、ロイ・マスタングという人間の方向性というか、意志の塊みたいなものができるので、そういった部分を観る方にも伝えたいと思います。
和田琢磨さん
――お二人が演じるマスタングは、軍という大きな組織の中でも大佐の地位にあり、エドへの接し方や、組織内での立ち回り方にも大人の姿を見せます。お二人もご自身の振る舞いについて、そうした一面はあると思いますか?

和田 それが、ないんですよ!(即答)

蒼木 アハハハ! 僕は、今までの役柄ではお仕えする側を演じることの方が多かったので、今は大佐として人を率いる、人の上に立つ、ということへの自覚を持つ段階で、それを意識して稽古をする毎日です。

和田 でも、30代がそういう役柄で始まる、っていうのもいいきっかけかもね。

蒼木 そうなんです、幅が広がりますよね。今回はアクションがない役なのも、結果として僕の未来に繋がっていくのかな、と感じています。

和田 ちなみに僕は、組織に入るのがイヤでこの仕事を選んだので(笑)。

蒼木 アハハハ!

和田 今回、軍側の役者は皆さんすごく素敵な方々で、吉田メタルさんを筆頭に、佃井皆美さん(リザ・ホークアイ役)とか、岡本悠紀さん(マース・ヒューズ役)とか、君沢ユウキくん(ジャン・ハボック役)とか、みんな本当に個性が豊かで。
そこを自分が束ねる、というのは非常におこがましいんですけれども、役としてはもちろん皆さんを率いなくてはいけないので、いい意味で干渉しすぎず、わちゃわちゃもしすぎず、という距離感は自分でも少し意識してやっています。

――そうした立ち回りの上手さに加えて、マスタングはさらに上の地位を目指している野心家でもあります。実際のお二人も野心家な面や、組織での出世欲はあるタイプだと思いますか?

蒼木 う~ん。出世欲は分からないですけど、役者という仕事に関しては、やっぱり何歳になっても上を目指せる、どこまでもゴールがない仕事なので、それで言うと近しきところはあるのかもしれないです。

――出世欲という形ではないけれど、上を目指すという意味での向上心はあるぞ、と。

蒼木 はい、通ずるものはあるのかなと思います。

和田 僕は、少し前にテレビドラマで演じたサラリーマン役が“俺はもっと上に行く”という感じで、そういうモチベーションがある役は演じていても面白かったですね。

蒼木 琢磨さんにハマりそうな役ですね!

和田 でも、会社勤めってどんな感じなんだろうね? 僕らはどれだけ長くても、大体3ヶ月ぐらいご一緒して、本番が終われば「またどこかで!」って散り散りになるじゃない? 極端な話、どんな人でも3ヶ月我慢すればね、バラバラになれるけどさ(笑)。

蒼木 アハハハ!

和田 でも、組織だとそうはいかないじゃないですか。自分が辞めない限り、ずっと同じ方々と、同じ目標に向かっていなきゃいけないから、そういう意味では我々よりも忍耐力が強いような気がしていて。ただ、その忍耐力がただの我慢にはならないようには、なんというか、“心の筋トレ”が求められるのかなと思います。

――では続いても、キャラクターにかけた質問を。“焔の錬金術師”であるマスタングは、水や湿気に弱いという面もありますが、お二人もなにか苦手なものや、ご自身の弱点だと思うことはありますか?

蒼木 僕、最近気付いたんですけど、若干の集合体恐怖症みたいです。

――何かきっかけになるものを見て、「あ、これ苦手かも」と気付いたんですか?

蒼木 何だっけ? 何を見て気付いたのかは忘れちゃったんですけど、かさぶたを見て、だったかな?

和田 アハハハ! どんなかさぶたしてるんだよ!(笑)

――では、和田さんの弱点はいかがですか?

和田 僕は、先端恐怖症です。

蒼木 えーっ!

――殺陣での剣先などは大丈夫なんですか?

和田 そういう風に動いているものは大丈夫なんですけど、昔に「俺、これダメだな」って気付いたきっかけがあって。雨の日に渋谷のスクランブル交差点を歩いていたんですよ。僕は傘を差していなくて、そしたら目の高さに女子高生たちの傘の先端部分がいっぱい迫ってきて、それに予想以上にびっくりしてしまって。それ以来、傘の先端みたいな部分が苦手なんです。
あーあ、弱点教えちゃった!(笑)
――それは意外な弱点でした。では反対に、焔のようにご自身の武器となったり、力を与えてくれるものはありますか?

蒼木 僕は晴れの日が好きなので、太陽ですね! 太陽光を浴びると、元気になります。

和田 僕もそれに近いんですけど、すっごい晴れ男なんですよ! 撮影の時にも大体晴れてくれるので、その力は自分の武器だと思っています。

――ということは今回も、公演期間中はいいお天気に恵まれるかと!

蒼木 これは琢磨くんにも、大阪公演に来てもらうしかないですね!(笑) ※大阪公演は蒼木さんのみ出演予定

和田 アハハハ!

――それでは最後に、改めて公演への意気込みとメッセージをお願いいたします。

和田 結構、今回の作品はテクノロジーに頼らず、人力で色々な表現をしています。「鋼の錬金術師」のファンタジーな世界を、あえて人力で動かしていく……そのエネルギーが観ている方にとっても良い作用となるように一生懸命稽古をしています。登場人物の生き様と、我々演者のエネルギーを掛け合わせた舞台になると思いますので、そこは観てくださる方にも楽しんでいただきたいです。

蒼木 石丸さち子さんの演出である意味と、やっぱり舞台で人がやる意味と。アニメでもなく、実写映画でもなく、舞台で、生で、目の前で起こっているからこそ、よりお客様に響くだろう演出がたくさんあります。
僕も原作を読んでいて、「どう描くんだろう?」と思っていたような描写が、「うわ、こういう人の力の使い方をするのか!」と感じるような、あえて役者全員にいいストレスがかかるような演出をしてくださっているので、その役者陣から自然と溢れ出る人間のエネルギーが、きっとお客様にも空気感として届くはず。それを生で、ぜひ劇場で体感していただきたいなと思います!
【インタビュー 了】

【作品紹介】
原作は2001年より2010年まで、月刊「少年ガンガン」(スクウェア・エニックス刊)にて連載され、日本漫画界における歴史的名作となった荒川 弘氏の代表作「鋼の錬金術師」。
コミックスは全世界シリーズ累計部数8,000万部を超え、テレビアニメ、アニメ映画、ゲーム、実写映画と数々のメディアミックスも繰り広げる本作は、『ハガレン』の愛称で親しまれ、錬金術を用いたバトルアクション、歴史や国家をまたにかけた壮大かつ緻密なストーリー、生き生きと描かれる個性豊かで魅力的な登場人物たちの姿に、老若男女問わず絶大な人気を博しています。
舞台『鋼の錬金術師』メインビジュアル
初の舞台化となる舞台『鋼の錬金術師』では、脚本・演出にミュージカルからストレートプレイまで様々な作品を手掛け、情熱的な演出、若手俳優の育成と、近年演劇界を牽引する存在である石丸さち子氏を迎えたほか、多様なジャンルのエンターテイメントで活躍するクリエイターとキャストが集結。
長期に渡るオーディションによってキャスティングされたエルリック兄弟、主演 エドワード・エルリック役の一色洋平さんと廣野凌大さん(Wキャスト)、アルフォンス・エルリック役の眞嶋秀斗さんをはじめ、ウィンリィ・ロックベル役に岡部 麟(AKB48)さん、ロイ・マスタング役に蒼木 陣さんと和田琢磨さん(Wキャスト)ほか、注目と期待が向けられる面々が出演します。

舞台『鋼の錬金術師』は、大阪公演が2023年3月8日(水)~3月12日(日)まで新歌舞伎座にて、続いて東京公演が2023年3月17日(金)~3月26日(日)まで日本青年館ホールにて上演されます。
ほか公演詳細・最新情報は、下記のInformationより公式サイトをご確認ください。

☆Information
【公演概要】
■舞台『鋼の錬金術師』

原作:荒川 弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
脚本・演出:石丸さち子

音楽監督:森 大輔
作詞:石丸さち子 作曲:森 大輔

出演:
エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗

ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)

ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨 (Wキャスト) リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル マース・ヒューズ 役:岡本悠紀
ジャン・ハボック 役:君沢ユウキ デニー・ブロッシュ 役:原嶋元久 マリア・ロス 役:瑞生桜子

ティム・マルコー 役:阿部 裕 ショウ・タッカー 役:大石継太 イズミ・カーティス 役:小野妃香里
ラスト 役:沙央くらま エンヴィー 役:平松來馬 グラトニー 役:草野大成

傷の男(スカー) 役:星 智也 ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾

ピナコ・ロックベル 役:久下恵美 グレイシア・ヒューズ 役:斉藤瑞季
ニーナ・タッカー 役:小川向日葵/尻引結馨(Wキャスト)

キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎 他

スーツアクター
アルフォンス・エルリック 役:桜田航成

バンドメンバー
Band Master & Key.:森 大輔 Gt.:オオニシユウスケ Ba.:熊代崇人 Dr.:守 真人

※Wキャストは五十音順

【日程・劇場】
OSAKA:2023年3月8日(水)~3月12日(日) 新歌舞伎座
TOKYO:2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール

【チケット料金(前売・当日共/全席指定/税込)】
グッズ付S席 12,000円
※劇場にて特典として【限定グッズ(非売品)】をプレゼントします。
A席 9,000円

チケットに関するお問合わせ:
ローソンチケット:https://l-tike.com/contact/

公演に関するお問合わせ:
マーベラス ユーザーサポート https://www.marv.jp/support/st/

協賛:DMM.com 主催::舞台『鋼の錬金術師』製作委員会

【あらすじ】
「鋼の錬金術師」
錬金術の盛んな国家・アメストリスに、そう呼ばれる国家錬金術師がいた。彼の名はエドワード・エルリック。史上最年少で難関の資格を得た天才錬金術師は、かつて最愛の亡き母を生き返らせるために、弟のアルフォンスと「人体錬成」という禁忌を犯していた。代償としてエドワードは左足と右腕を、アルフォンスは肉体の全てを失いからっぽの鎧に魂を宿す。絶望の淵に立たされた兄弟だが、失った身体を取り戻すことを決意する。
手がかりとして、莫大な力を持ち錬金術の基本原則を無視した錬成が可能になるとされる「賢者の石」を探し求め、兄弟はすべてを取り戻す旅を始める―。

≪公式サイト≫
https://stage-hagaren.jp/
≪公式Twitter≫
@stage_hagaren
≪公式Instagram≫
@stage_hagaren_official

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