俳優・山本一慶さんの本格的な演出家デビュー作となる舞台『夏の夜の夢』が、12月18日より、名古屋と東京の2都市にて上演されます。

シェイクスピア喜劇の代表作を男性俳優のみの“オールメール”キャストで送る本作は、当初2021年5月に上演予定でしたが緊急事態宣言により延期になり、この度新たなキャストを迎えての上演となります。

新キャストとして、ヒロインのハーミア役に関西ジャニーズJr.の澤田雅也さん、ハーミアの恋の相手・ライサンダー役にジャニーズJr.の松本幸大さん、また4年前の公演でヘレナ役を演じた和合真一さんがヘレナに愛されるディミートリアスを演じます。さらには深澤大河さん、大崎捺希さん、八神蓮さん、続投となる安井一真さん、谷水力さん、KIMERUさんと豪華な俳優陣が集結しました。

スマートボーイズでは、演出を務める山本一慶さんとディミートリアス役の和合真一さんにSPインタビュー！ 前後編の2回に渡りお届けします。PART②では、衣装にまつわるエピソードや今作の見どころなどを語ってもらいました。(※PART①はコチラ)

――さて、今作はシェイクスピアの代表作の一つでありますが、作品のことを知らない方や「シェイクスピア作品は難しい」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。そこで、そういった方たちに向けて、今作の見どころや注目ポイントを教えていただけますか。

山本　大きく分けて「若者4人」「貴族」「村人たち」「妖精界」と4つに分かれていて、最終的にいろいろなストーリーの中で入り組んで関わっていきます。もともとこの作品は貴族のような地位の高い人間に見せていたもので、彼らに共感できるように作られているんですけど、一般の人が見ることのできる今の時代において、この作品を俯瞰して見ることが出来ることによって、すべての笑いを捉えることが出来るようになっていると思っています。きっとシェイクスピアの想いが、この時代だからこそ感じることが出来るんじゃないかと。いろいろな共感を味わえる作品というのも魅力ですし、この作品はハッピーエンドであって、見終わった後に笑顔や未来の希望を感じることが出来るので、コロナ禍というこの時期だからこそ、この作品で笑顔になっていただきたいです。

和合　4年前の前回からは根本的に変わらないかなと思いますが、ベースがしっかりしているからこそ、同じセリフでもニュアンスがちょっと違うだけでも、伝わり方も変わったりします。美しくも難しい言い回しもあるんですが、それを自分なりに演者がどう捉えて発するかによって、違うものになってくるので、そのあたりがシェイクスピア作品の楽しみ方かなと。これまでマクベスとかいろいろなシェイクスピア作品を見てきましたが、演出や役者の力量によって全く同じセリフでも、全く違う作品に見えます。これまで「夏の夜の夢」をご覧になった方でも、違いを一つ一つ楽しんでもらえたらと思います。

――衣装についても触れたいなと思いますが、5月の時から衣装が変わったそうですけれど、一慶さんなりの意図はあったんですか。

山本　衣装さんとも話をして、今回は「新しい挑戦」ということで、人間たちは色とりどり、妖精たちは白で統一という“ロックなテイスト”にしてみました。今までに僕の中にはないアイデアで、妖精に関してはどちらかといえば色があるイメージでしたが、出来上がりを見た時に“妖精感”が増している感じがあったので、これを着てお芝居をする姿が楽しみです。

――4年前に一慶さんと和合さんが演じたハーミアとヘレナは、今回は澤田さんと安井さんが演じますが、先輩としてアドバイスなどありますか。

和合　俺より可愛いヘレナ出来るかなぁ～。

山本　僕のハーミアも、相当可愛かったので。

和合　やっぱり、ライバル視しちゃうところはありますね。

山本　僕は出来る限りのことをしてあげたいな、と思います。

和合　2人ともメッチャ上から目線。

(一同笑)

和合　ヘレナはすべてのキャラクターに影響を及ぼす関係性なので、どう思いの丈をぶつけ合うかというのは、ハーミアをやったからこそとか、ヘレナをやったからこそ出てくるものもあると思うので、そこはみんなと相談し合いながら出来ればと思っています。あとは美しい所作に関しては、圧倒的に私が勝っていると思うので、そこは先輩としてちゃんと教えてあげたいです。ただ一度だけ「190㎝のバケモノ」と言われたことがあるんですけど(苦笑)。

――ディミートリアスの衣装に関して、ここがポイントというのはありますか。

和合　スタイリッシュで、パリコレぐらいの衣装じゃないかなと。最初の衣装合わせの時にシャツがシースルーで、ベストを羽織る前までは全部スケスケで、シャツだけ渡された時は、今回は乳首が見えることを覚悟しなければいけないと思いました。これも山本一慶演出だからかと思って、どうやって乳首を隠してもらうかを伝えようと考えていたんですけど、最後にベストを渡されてホッとしました。

山本　俺も同じ立場だったら、乳首隠しのことを言っていたかも(笑)。今回も役者のテンションが上がる衣装がいいなとオーダーを出しました。

和合　メチャメチャスタイリッシュで細身の衣装なので、暴れたらビリって破けそうな気はします。

山本　大きな暴れはないので大丈夫だよ。

和合　アクロバティックな動きはないの？

山本　4年前に演じたからわかると思うけど、激しい動きはないでしょ(笑)。

和合　なかったっけ？ 4年前だから覚えていないな(笑)。この衣装を着たらより一層乗ってくるので楽しみですね。

――衣装合わせの時、一慶さんは立ち合われたのですか。

山本　ちょうど別作品の公演中だったので、全員ではなかったんですが、ほとんどは立ち合いました。みんな印象良く着て下さったので、ホッとしたのもありましたし、女の子役のメンバーがメイクをした時は「女の子になってくれてよかった」と一番安心しました。そして素敵なカワイイ写真を撮ってくださったので安心しています。

――今回の日程はクリスマスをまたぎますね。

和合　ホント、今年のクリスマスは何も予定がなくてよかった。だいたい毎年、何もないんですけど(苦笑)。

――何かクリスマスに特別な演出とか用意していますか。

山本　さすがにそんな予定はないですよ(笑)。でもお客様がクリスマスという大切な日に「夏の夜の夢」を選んで観に来てくれる有難さは、ものすごく感じますね。素敵なクリスマスにしてあげたいですし、観終わった後に「素敵だったね」「楽しかったね」「ほっこりした」と、大切な人とクリスマスの夜を一緒に過ごして下さったら嬉しいなと思います。

和合　僕は365日、“僕”という名のプレゼントをあげているので、クリスマスが特別な日という感覚はないですね。もしくは僕からのプレゼントというよりも、特別な日に観に来てくれたこと自体が僕へのプレゼントでもあるから、プレゼント交換出来てよかったねという感じですね。

山本　なるほど……。

(5秒ほど無言)

和合　あれ？

(一同笑)

和合　これは響く人と響かない人と、両っっ極端に分かれるので。

――一慶さんは響きましたか？

山本　あの……、響きそうでしたけど、まだ追いつけなかったですね。完全に僕がいけないです。

――確かに響く人響かない人とはっきり分かれそうですね(笑)。では最後に公演を楽しみにしている、ファンの方へのメッセージをお願いします。

山本　「夏の夜の夢」は、昔から愛されていて、だからこそこの作品を観る時代によって、お客さまが感じ取る内容や思いが変わる作品でもあるなと思っています。この瞬間に観る「夏の夜の夢」は、素敵でポジティブな思いを届けることが出来る作品じゃないかなと思いまして、そのために役者同士で密にお芝居を作っていきたいですし、お芝居を楽しみにしていただけたらと思います。どうぞ楽しみにしてください。

和合　シェイクスピア作品は、演じる人によっても、演出する人によっても全然違う作風になりますが、山本一慶演出で、ある意味スタンダードな役者のぶつかり合いを楽しむことが出来ると思っています。完成され切った脚本の中で演じていくので、ある意味演劇の力を思い知ることになるというか、我々も脚本に対して応えないといけないし、難しい台詞回しもたくさんあると思いますが、2.5次元作品をきっかけに演劇に目覚めた人がいるのと一緒で、作品自体を知らない人でもシェイクスピア作品にハマるかもしれないので、そうなるように一翼を担えればなと思っています。

≪あらすじ≫
アテネ公爵シーシュースは、アマゾン国女王ヒポリタとの婚儀を間近に控え、浮き立つ気持ちをおさえきれずにいた。
そこへ貴族イージーアスが娘ハーミアを連れてやってくる。彼女は父の薦めるディミートリアスとの結婚をかたくなに拒んでいた。
アテネの古い法律に則って父の言うとおりに結婚しなければ死刑ないし一生独身だと、シーシュースに言い渡されたハーミアは、恋人のライサンダーとアテネ郊外の森で落ち合い、駆け落ちすることに決める。
幼なじみのヘレナにだけはこの約束を打ちあけた。しかしヘレナは、ハーミアが拒むディミートリアスに想いを寄せており、二人の駆け落ちの秘密をディミートリアスに教えてしまう。こうすれば、二人を追って行くディミートリアスに森で会えると思ったのだ。
街では、公爵の結婚式で芝居を披露するために機織り職人のボトムや大工のクインスら6人の職人仲間が集まっている。
配役を決め、練習のため翌日の夜、森で集まることにする。かくして、10人の人間が、夏至の夜に妖精の集う森へ出かけていくことになった。
一方その森では、妖精の王オーベロンと妖精の女王タイテーニアがインドから連れてきた小姓のことでケンカをしていた。
機嫌を損ねたオーベロンはいたずら好きな妖精パックを使って、タイテーニアのまぶたに媚薬をぬらせることにする。
キューピッドの恋の矢の魔法から生まれたこの媚薬は、目を覚まして最初に見たものに恋してしまう作用がある。
パックの勘違いで森で眠っていたライサンダーとディミートリアスにもこの媚薬を塗ってしまったことで、ライサンダーとディミートリアスがヘレナを愛するようになり、ハーミアたち4人の関係があべこべになってしまった。
また、森で稽古している職人たちを見かけたパックは、いたずらでボトムの頭をロバに変えてしまう。
目を覚ましたタイテーニアは一目見てロバの頭をしたボトムに惚れてしまう…。

舞台『夏の夜の夢』は12月18日より名古屋市芸術創造センターにて名古屋公演、12月22日より東京芸術劇場シアターイーストにて東京公演がそれぞれ上演。詳細はInformationから公式サイトをチェックしてください。

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