崎山つばさ「透明でありたい」糸川耀士郎「舞台上では生意気」北村諒「出し惜しみしていたら食われる」2/10開幕、舞台『玉蜻 ~新説・八犬伝』座談会が開催!熱気溢れる稽古場や今作の魅力をたっぷりのトークでお届け

2023年2月10日より東京・EXシアター六本木にて上演されるDisGOONie Presents Vol.12 舞台『玉蜻 ~新説・八犬伝』の座談会が、1月22日に開催されました。
舞台「玉蜻 ~新説・八犬伝(たまかぎる しんせつ・はっけんでん)」全出演者キービジュアル
スマートボーイズでは、稽古が始まって間もない、主演の崎山つばささんを始め、糸川耀士郎さん、北村諒さん、そしてDisGOONieの主宰で作・演出を務める西田大輔さんの4名が登場した座談会の様子をお届けします。
(左より)作・演出の西田大輔さん、犬江親兵衛役の糸川耀士郎さん、犬塚信乃役の崎山つばささん、犬坂毛野役の北村諒さん
【『玉蜻 ~新説・八犬伝』座談会】
■キャスト陣と西田大輔氏との出会い、そして俳優としての成長
西田 今作の主要人物の3人に集まってもらったんですが、あらためて一緒に作品を作るにあたって、ちょっと聞いてみたいことをいくつか聞いていきます。まずは座組を引っ張ってくれる主役のつばさくん。一緒にお芝居やったんですよね、昔。

崎山 はい。『煉獄に笑う』(2017)で。

西田 今回はそこから久しぶりに一緒にやるけど、率直に感じてることは?

崎山 初日の稽古で西田さんの殺陣でアクションをしたとき、あ~これこれっていう感覚がありました。新しい殺陣ではあるんですけど、懐かしさを感じたというか。西田さんが作る世界観には刀にもセリフがあるような気がして。これから殺陣シーンがどんどん増えていくんだろうなという楽しみがあります。

西田 つばさってものすごくハングリーで、同時にストイックさを感じたのを覚えてて。それから約6年経つけど、いろんな作品を経た今、俳優として大事にしてるものは何なのか。

崎山 西田さんと出会った頃は、自分の武器とかアピールポイントを探しているタイミングでした。でも今言えるのは、「続けることが武器になる」。自分に与えられた役についてどう演じていくか。自分以外の人が演じたときに崎山つばさじゃなきゃできないこと、みたいなものを大切にするようになりました。

西田 自然体になっていってるのかな?

崎山 そうですね。とにかく作品が良くなればいいなっていう思いが強いです。この間のワールドカップじゃないですけど、誰かが点を決めてチームとして勝てればいい。その中で、この人のプレイがいいっていうのは、見てくれる人が感じてくれればいいので。
西田 そっか、そうなんだ。2人はつばさと共演経験はあるの?

北村 あるけど、絡みとしてはほぼないです。同じ作品に出てはいるけど、シーンが被ってないんで会話がない。

崎山 やり取りはしてないね。

北村 セリフのやり取りはない。だから、ちゃんと共演したと言っていいのかどうか。

糸川 僕は完全に初めましてです。

北村 共演してそうなのにね。

糸川 そうですね。なんかタイミングが……。入れ違いで。

西田 耀士郎は最近も一緒にお芝居をしてますが、DisGOONieは初めて。率直にその感想を教えて。

糸川 DisGOONieは、心の底から西田さんたちが一緒に作りたいと思う人たちが乗る船だと思っていたので、選ばれるしかないというか。選んでいただかないとDisGOONieでお芝居できるチャンスがないので、今回すごく嬉しかったです。それに、八犬伝ということでキャラクターも個性的になると思うんですけど、見に来た役者はきっと思うんですよね、西田さんの台本と演出で俺が犬江親兵衛をやりたかったなって。僕はそういう方々に恥じない親兵衛を演じたいし、「いや、親兵衛は俺だから!」っていう気持ちで親兵衛を作りたいです。

西田 耀士郎ってDisGOONieの舞台をよく見に来てくれるけど、終わったあとに僕は「何(の役を)やりたい?」って必ず聞くのね。「何やりたい?」の「い」の前に、役が出てくる。こういうのがやりたいっていう思いと、のめり込む力強さがものすごい。それは役者として武器になると思うけど、それについてはどう? 自覚はあるの?

糸川 いやでも、そういう気持ちは最近強くなりました。自分はまだまだって感じたり、俺の台本の読み方はまだまだ甘いわって、つい最近も思ったばっかりだったんで。

西田 そういえば面白いエピソードで、前にやったお芝居で、耀士郎がひと言、好きな女性に気持ちだけを言って去っていくシーンがあって。そこを稽古したとき、お芝居は悪くないんだよ。良かったんだけど、なんかちょっとモテるなって感じがしたの。

一同 ハハハハハッ。

西田 「モテ芝居にいくの?」みたいなことを言ったら、「西田さん、俺、モテるために芝居やってないっすよ!」って。そのとき稽古場にいたみんなが「カッコいい~」ってなって。次のシーン、もっとモテる言い方してた。

一同 アハハハッ。

糸川 マジ恥ずかった、あれ!

北村 振りが効いてるな~(笑)。自分ではどういう思いだったの?

糸川 いや、僕にウソはないですよ! ちゃんと台本を読んでこういう感じかなと思ってやってみたら、稽古場が大爆笑。最初、何が起きてるのかわからなくて。

北村 結果そうなっちゃったのね。

西田 諒はもう付き合い長いし、たくさんのお芝居をやってきましたし、いろんな大役も任せたけども、今回は久々のDisGOONie。どうですか?(※北村さんはDisGOONie presents vol.1「From Chester Copperpot」の『NEW WORLD』(2015)ほか、DisGOONie公演2作品に出演経験有り)

北村 DisGOONieがスタートしたとき、いつまで航海を続けていけるんだろうとか、僕も当時一杯一杯だったんで全然考えられてなくて。出航することに精一杯だったというか。年月を経てvol.12まで来たのがすごい。またこうして集えるって、こんなに幸せなことはないなと、顔合わせのときに思いました。

西田 諒も俳優として、カッコいいとかかわいいというポジションから、いち俳優として芽が出て花が咲いてると感じる。30代に入ってここから先、こうなりたいと思う俳優像ってあります?

北村 そうですねぇ。ずっと思ってるのは、(谷口)賢志さんみたいな俳優になりたい。トガッていたい。賢志さんの勝負の仕方や生き方がカッコいいなと前から思っていて。憧れてます。
崎山つばささん
■稽古を通したお互いの印象について
糸川 僕は舞台の上に立つと生意気なところがあるので、昨日の稽古では崎山つばさという俳優はどういうお芝居を見せてくれるんだろうと思ってました(笑)。口には出さないですけど。「来いよ!」って気持ちで。でも、先に殴られた感じ。ひと言目で稽古場の雰囲気をガッとつかんだようなお芝居を見せつけられました。

北村 まだ殺陣だけですけど、つばさくんの他のお芝居は見たこともあったので、そのイメージも含めて、どっしりとしてるな~と感じていて。早く芝居稽古も一緒にやっていきたいと改めて思いました。

崎山 僕は西田さんが選んでここに呼んだ方々って、「もっと来いよ!」と芝居に飢えてる人達というイメージ。この2人の中にも「見せつけてやろう!」とか「負けないぞ!」という内なる青い炎を感じました。僕自身も背筋が伸びます。 (糸川さんを見て)どんな芝居を見せてやろうかな~っていう(笑)。

糸川 アハハハッ。

崎山 そんな大きいこと言えないですけど(笑)。でも、そういう人達の集まりなんだなって感じました。

北村 海賊だからな~。出し惜しみしてたら、みんなに食われる勢いだから。
糸川耀士郎さん
■今作で挑戦してみたいこと
西田 今回もいろんな俳優達がいて、これだけは残しておきたい、刻みたい、楽しみたいというのがあったら聞きたいです。誰と絡みたいとかでもいいけど。どうですか?

糸川 僕はいろんな人格を演じたりしたいです。いろんな面を見せられる、それこそ役者としてこんな幸せな役ないなって、そんな役を演じたいです。まだわかんないですけど、親兵衛がそうなってくれたらいいなと思いますし、このタイミングでDisGOONieでそんなお芝居ができたらいいなと思います。

北村 なんだろう……。殺陣って、1人対アンサンブルの方々っていう戦いはけっこうありますよね。でも、一騎打ちの真剣勝負のシーンを見てみたいし、演じてみたいなと思ってます。

崎山 八犬伝をもとにした舞台は今までいろんな方々が演じられてますが、僕は、伝説で語り継がれる犬塚信乃の真逆をいきたいなと。見た人がこんなの犬塚信乃じゃないよって思うくらい、この作品の中での犬塚信乃はこれだっていうのを見せられたらと思います。こういう解釈もあるんだと新しい扉を開けたら嬉しいです。八犬伝という物語の奥行きが出たらいいですね。

西田 つばさと話したよね。主人公によくある、冒険して笑い、傷つき、泣き、友情を感じ、みたいなポジションは一切やめようと。稽古場でも俳優同士、読んだセリフをどう解釈したのかで、結末が変わっていってる状況です。
北村諒さん
■新説・八犬伝のテーマと本作で大切にしていること
西田 今回のテーマは、「命より重いものがあるのか」。はっきり言ってしまえば、答えはあるんですが、それは信乃に託して物語は進んでいきます。それと「玉蜻」というタイトル、読めないよね。

北村 そうですね。初見では読めないですね。

西田 まさにそれで、読めないタイトルにしようと思って作ったの。万葉集の句の中にあるんだけど、「美しく光る様」という意味の言葉。美しさの限りはどこにあるんだろうみたいな部分を人間の感情とリンクさせながら作りたい思いもあります。あと、例えるなら色。たくさんの色があるけど、「君は黄色の人です」「君は緑の人です」って言われるの嫌じゃん? そんなことないよって思っちゃう。そこに収まらないと思う人達の物語になったらいいなと。だから8人がどうなるかは、普段の会話でどんどん変わっていく、っていうのを作りたい。君らは腕のある俳優なので、目の前の相手のお芝居でどう感情が変わっていくか、新たな感情をとにかく見たいと、僕は考えてます。

崎山 色で言うと、「透明」でありたい気持ちがあって。役者はいろんな役にならないといけないし、限られた時間の中でその人が生きた時間を表現するにあたって、どれだけ役のことを考えたか、もちろん大事。でも、そうやって犬塚信乃を演じるのは、1人では無理だと思うんです。稽古や舞台上で誰かが発したもので新しい犬塚信乃が見られることもあるし、実際、昨日の稽古でも(田中)良子さんが発する言葉で、こっちの解釈かなと思う瞬間もあったりして、限られたセリフの中でもまだまだ考える余地がある。それは台本が出来上がったとしても、本番が始まったとしてもまだまだ続くんだろうなと思います。

西田 面白いと思います!  

崎山 (北村さんの方を向いて)どうですか?

北村 めっちゃ見るじゃん(笑)。「あたなは何色です」って言われるの嫌だっていう話、確かにと思う。「きたむーなら、こういう役が合うよね」って言われると反発したくなるし、裏切っていきたい。特に今回はオリジナルで西田さがん八犬伝を新しく書くということで、要は自由。さっきつばさくんが言ったようにそれぞれの掛け合いの中で変わっていくこともあるだろうし。自分でも自分ってこうだろうな、みたいな刷り込みもあると思うんですけど、それに縛られず、役と向き合っていきたいです。

糸川 僕が台本を見て思ったのは、西田さんってセリフをストレートに書かない。この2人だからわかる言葉のやり取りを書かれることがあるじゃないですか。サラッと台本に書かれていて、サラッとキャラクターが発してるけど、どういう意味?と、紐解く作業が今めっちゃ楽しいです。昨日の稽古、僕は5~6行で終わったんですけど、その5~6行にかなり悩まされて。お客様にも「今のセリフどういう意味?」と引っ掛かりながら、物語が終わって心に残ったセリフを思い返したときに、「うわ、そういうことなのかも」と感じられる作品に仕上がる予感があります。
西田大輔さん
西田 さっきつばさが言った「透明」の反対語って知ってる?

崎山 ……無色?

糸川 色?

北村 黒!

西田 僕も天邪鬼だから透明の反対語のようなお芝居を作ろうって思ったんですよ。それで調べたら、透明の反対語ってないの!

崎山 存在しない?

西田 しない。あえて言うなら「不透明」。「不透明」って反対語ではないじゃん。あ、ないのかと。だから、信乃の旅はそんな旅ですよ。
■西田氏が3人に課す課題
西田 耀士郎くんのいいところも苦手としていることも一緒にお芝居していると手に取るようにわかるんです。今回、彼に掲げてるテーマは、他の俳優がやってない表現をいくつ出せるか。
で、諒くんはこう見えて太陽みたいな力強さがあるんです。華奢だし、そうは見えないけど。でも、ムキムキの奴より男気がある瞬間があるので、彼のお芝居のいい武器でもあるんです。それを持った上で、今回は女性の美しさを演じてもらいたい。けっこうな難題だと思ってます。
つばさには、ものすごい猛者達をどう引っ張るかが見たいのと同時に、彼が最終的にどんな顔でこの旅を終えるひと言を言うのか。それはつばさで決めようと思っているので、楽しみですね。今の感じで最後までやりきったときに、僕らが見たことない景色に連れてってくれる気がしています。
■ファンへのメッセージ
西田 ものすごく素晴らしい俳優たちが集まってくれて、稽古場1つ取っても最強布陣なんじゃないかという話になっています。だからこそ彼らの見たことない表情をどれだけ作れるか、本気で僕は思っています。こんな物語があるんだという物語を精一杯作っていくので、どうぞよろしくお願いします!

糸川 お客様にも考えてもらいたいと思いますし、同じ役者の皆さんが見ても、この味は糸川耀士郎しか出せないなと思う犬江親兵衛を作り上げるために、悩みに悩んで自分なりの答えを出したいと思います!

北村 西田さんの誰も見たことない八犬伝と、僕らの誰も見たことない八犬士。原作の八犬伝が好きな方はもちろん、ここから手をつけてみようという方はぜひ今作を見てもらってから八犬伝の原作に触れると、こんな違いがあるんだと発見する楽しみもあるので、劇場で「玉蜻」を体感していただけたら嬉しいです。

崎山 今回のキーワードの1つに「玉」が出てくるんですけど、見に来た人の中でも自分の「玉」はなんだろうとか、さっきの話でいうと「自分の色はなんだろう」とか、自分の中の玉や色を劇場に探しに来てもらえたらなと思います。



舞台「玉蜻 ~新説・八犬伝」は、2月19日まで東京公演が行われ、2月25日よりCOOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて大阪公演が開催されます。チケット情報など、公演の詳細はInformationより公式サイトをご確認ください。

★Information
舞台「玉蜻 ~新説・八犬伝(たまかぎるしんせつはっけんでん)」
【東京公演】2023年2月10日(金)~2月19日(日)
@EXシアター六本木(東京都港区)
【大阪公演】2023年2月25日(土)・26日(日)
@COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール(大阪市中央区)
作・演出・プロデュース:西田大輔
出演:
崎山つばさ、藍染カレン、糸川耀士郎、砂川脩弥、柳美稀、椎名鯛造
田中良子、村田洋二郎、川上将大、谷口賢志、萩野崇、北村諒 ほか
(※出演予定の奥山かずささんが体調不良による療養の為、降板。新たに柳美稀さんが出演します)

チケット情報:全席指定 11,000円(税込)特典付き
テレ朝チケットhttps://ticket.tv-asahi.co.jp/ex/project/tamakagi
イープラスhttps://eplus.jp/disgoonie12/
チケットぴあhttps://w.pia.jp/t/tamakagiru/ Pコード:515-576
ローソンチケットhttps://l-tike.com/order/?gLcode=31982 Lコード:31982
カンフェティhttp://confetti-web.com/disgoonie12/

《公式サイト》
https://disgoonie.jp/stage/vol12/
《公式Twitter》
ディスグーニー @disgoonie

主催:舞台「玉蜻~新説・八犬伝」2023製作委員会

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