立花裕大「この期待は裏切れない」、糸川耀士郎「○○が出演を喜んでくれた」と茅野イサム演出作への意気込みを語る、悪童会議・ミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』インタビュー【前編】

演出家・茅野イサム氏とプロデューサー・中山晴喜氏による演劇ユニット・悪童会議の第二回公演となる、ミュージカル『夜曲〜ノクターン~』が2024年5月に東京・品川ステラボールにて上演されます。
スマートボーイズでは本作のキャストより、700年前からタイムスリップした古武士・十五じゅうご 役を務める立花裕大さんと、放火魔の若者・ツトム 役を務める糸川耀士郎さんにインタビュー。二人とはミュージカル『刀剣乱舞』シリーズでの関わりも深い茅野氏が演出する本作について、公演への意気込みや演じる役柄の印象などを前後編に渡りたっぷりと語っていただきました。
十五役の立花裕大さん&ツトム役の糸川耀士郎さんが登場!
【作品紹介】
演出家・茅野イサム氏とプロデューサー・中山晴喜氏による演劇ユニット・悪童会議。佐藤流司さんを主演に迎えた旗揚げ公演『いとしの儚』に続く第二回公演となる本作は、1986年に劇団「善人会議」で初演されて以来、様々なカンパニーで繰り返し上演され続けている、横内謙介氏・不朽の名作です。
ショパンの名曲「Nocturne」と共に蘇る、七百年の時を超えた壮大なロマン。『夜曲』に繰り返し出演し2003年には演出も担当した、この名作を誰よりもよく知る茅野イサム氏が、新たにミュージカルとしてお届けします。
【あらすじ】
「この場所にまつわる秘密を知っているのか」
孤独な若者ツトム(糸川耀士郎)には秘密がある。彼は、放火魔。
ある夜、彼は小さな幼稚園の廃墟を燃やす。
「あの星が巡ってきた夜にここに火を放つ者があれば…」
それは、76年に一度巡り来るという彗星が、南の空に輝く夜だった。
やがて、燃え尽きて無残な姿をさらす焼け跡から、異様な人影が現れる。
「あの物語が再び息を吹きかえすということを!」
それは、崩れかかった鎧を纏った、苔むすような古武士(立花裕大)だった。

■悪童会議 第二回公演 ミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』
十五役・立花裕大さん×ツトム役・糸川耀士郎さん インタビュー

【インタビュー前編】
――演劇ユニット・悪童会議の第二回公演となるミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』(以下、『夜曲』)。演出の茅野イサムさんとはミュージカル『刀剣乱舞』でも関わりがあるお二人ですが、今作への出演が決まった時はどう感じられましたか?

立花裕大(以下、立花) 今回が悪童会議の第二回公演ということで、僕は旗揚げ公演である『いとしの儚』(主演・佐藤流司さん)を観劇した後にお声がけをいただいたので、「俺でいけるのかな」と……それはもう、プレッシャーを感じました。
もちろん茅野さんはどの作品でも本気ですけど、ご自身で立ち上げて「しっかりやるぞ!」という意気込みあふれるプロジェクトに呼んで下さったことへの嬉しさと、その分のプレッシャーが同時に襲いかかってきた、という感覚でしたね。

糸川耀士郎(以下、糸川) 僕も、茅野さんにとって悪童会議がどんな場所なのか、『夜曲』という作品がどれぐらいのものなのか。そういうことを考えてみた上で、今回のツトム役に選んでもらえた、という喜びがすごく大きかったです。
そして僕以上に、なぜかうちの父が「悪童会議に呼ばれないと意味ないぞ」と、以前から言っていて(笑)。

立花 えっ、お父さんが!?

糸川 そうそう。だから今回、ツトム役に決まった時に「茅野さんに少なからず認めてもらえたってことだな!」とうちの父が言っていて、それもなんだか嬉しくて(笑)。
十五役の立花裕大さん
ツトム役の糸川耀士郎さん
――茅野さんに認めていただいたことで、お父様への親孝行もできたような(笑)。

糸川 今までの僕のことも、父は認めてくれていなかったわけじゃないんですけどね(笑)。こうして『夜曲』に出られること、茅野さんの悪童会議に呼んでもらえたことを、僕と同じぐらい父も喜んでくれて、それがすごく嬉しかったっていう話です(笑)。

――おっしゃるように、茅野さんにはミュージカル『刀剣乱舞』を通して、お二人の芝居や稽古場での姿も見ていただいた上で今回の役柄を任されたわけですから、茅野さんから役者としての信頼を得られている、という嬉しさも感じられたのではないでしょうか。

立花 そうですね。今回のキャスティングは役柄のイメージも大きかったと思いますが、僕らに期待してくださっている部分に加えて、僕が言うのもおこがましいですがきっと人柄みたいなものも見ていらっしゃると思うので。どんなに素敵な役者でも、座組の一員が破天荒すぎたらそれは大変だと思うし、人として「こいつと一緒にやりたい」と思っていただけるところに、今は一応いるんじゃないかなって。それはやっぱり嬉しいですけど、逆に「この期待を裏切れないな」という思いもあります。

糸川 僕も同じ気持ちです。その上で「もし、自分じゃなかったら誰だったんだろう?」っていうのも考えちゃいましたね。

立花 確かに、それは気になるかも。

糸川 僕たちの他にも魅力的な役者はたくさんいるから、その中で自分を選んでもらえたっていう喜びはすごくありますし、僕がご一緒した「ミュージカル『刀剣乱舞』~静かの海のパライソ~」からも数年が経っていて、こうしてまた茅野さんとガッツリお芝居をやるのも久々なので、稽古では成長した姿を見せられたら、と思っています。
――今回は、新たに浅井さやかさんが上演台本と作詞を手掛けるミュージカル版での上演になりますが、お二人ともベースとなる横内謙介さんの脚本はすでにご覧になったとのこと。それぞれご自身が演じる役柄には、どんな印象をお持ちになりましたか?

立花 僕が演じる十五は700年前からタイムスリップした武士なんですが、一言で言えば男らしく、正義感に溢れていて、自分の目的にまっすぐ突き進んでいく男です。それ故に、「人によって正義って違うよね」というわかり合えない部分で今回のお話は色々とこじれていくんですが、個人的にはすごく好きな役柄ですね。真っ直ぐで揺るぎない、ハッキリとした人間なので演じるのが楽しみです。

糸川 僕が演じるツトムは放火魔の青年で、ビジュアルから見ても察するところがあるように……大人しいけど社会にはあまり適応できていないような、ちょっとヤバいやつです。
放火魔として火をつけることが生き甲斐であり、人生の一部にもなっている。本当にそこだけを切り取ってみてもヤバいやつなんですが、そんなツトムがある場所に火をつけるところから物語が始まりまして……そこからどう展開して、ツトムにもどんな気持ちの変化が現れるのか、というところも鍵になってくるので、そこは注目してもらいたいですね。複雑な役柄だけに、今から役作りをしていくのがすごく楽しみです。

――性格や生きてきた時代も違い、異なる価値観を持っているツトムと十五ですが、この対照的な役柄について、お互いの配役はどう思いますか?

立花 俺はもう、最初に脚本を読んでいる時から、ツトムのことはめちゃくちゃ耀士郎で想像ができていて。役と耀士郎が似ているというよりは、芝居として「あっ、ここでは色々と仕掛けてくるだろうな」とか、「耀士郎なら、ここは振り幅広く挑んできそうだな」っていうのが、すごくイメージできたかな。

糸川 えっ、本当ですか?

立花 ツトムって、言ってしまえばオタクっぽいというか……繊細でフワフワしていて流されやすい、自分がないようなところがあるんですけど、“火をつける”ということに関しては、自分なりの哲学を持っていて。それはものすごく偏屈な哲学に見えるけど、物語の後半になると、彼の生き方が強い意志をもって生き生きとしてくるんです。
火をつけることで自分が燃える、そんなメタファーとしても置き換えられていくので、ツトムという役は純粋に面白いなと思いましたし、それを耀士郎がやることで、よりクセの強い役になるんだろうな、と僕も楽しみにしています。
糸川 僕ももう、十五は裕大くんにピッタリだなって思いました! 十五は昔から文武両道で、出来すぎてしまうが故に、周りの兄弟が十五に対するコンプレックスを抱いてしまうような役柄なんですが……僕も、裕大くんにそういうことを感じたことがあって。

立花 本当に?

糸川 この裕大くんの圧倒的なビジュアルだったり、オーラのある佇まいだったり……僕はこうはなれないから、舞台の上に立つ時には少なからず、裕大くんへのコンプレックスを感じたこともあるんです。そういう説得力を持っている裕大くんは、十五ともすごく重なっているな、って脚本を読んでいて思いましたね。

立花 嬉しいっすね。こんなに褒められて、まだ始まってもいないのに打ち上げみたい(笑)。

糸川 アハハ! 打ち上げだとみんな、お互いのことを褒めがちだから(笑)。
――でも、糸川さんがおっしゃるような立花さんの存在感というのはよく分かります。立花さんは、自分が周りからの羨望を集めるような存在である、という自覚はありますか?

立花 自覚ですか!? それはありません。それを感じてしまったら、ちょっと天狗になってしまうんじゃないか、という怖さもありますし……でも、役者として舞台に立つ以上は説得力を持っていないといけないな、と。お客様が入り、自分がドンッとステージに立っている時には、それはもう自信たっぷりでいたいと思いますし、「堂々たるとは何か」みたいなことはいつも考えていますから、多少は自覚もあるというか(笑)。自分に対して、ちゃんと誇りを持つことは大事だと思っていますね。

――他にも今回の役柄について、ご自身と重なる点や共感できる部分はありましたか?

立花 十五には根本として「正義でいるためには、自分の手も汚さなければいけない」という部分があって。僕も「全うな正義を貫こうとしたら、そういう瞬間は訪れるよね」というのは理解できるというか……現代で生きる僕たちには社会性や理性があるから、犯罪には手を染めず、良きところで手を打とうとするものだと思いますけど、それが700年前の侍の時代だったら、実際に人の命を手にかけてしまうこともあるだろうな、と。
これは多分、昔から今までずっと普遍的な考え方だと思うんです。だからこそ法律が整備されてきたんだろうとも思うんですが、そうやって「正義とは何か」を自分なりに突き詰めようとしている姿には、ものすごく共感できるんですよ。時代と環境が違うから行動としては異なっているけど、十五の姿にはすごく納得できました。
糸川 僕は正直、ツトムと似ているなと思うところはないですね。特に、放火にロマンを感じるというのが……僕には理解できないし、そこには辿り着けないかもしれない。
ただこれから稽古をしていく中で、もっと役柄を掘り下げて、茅野さんとも会話を交わしていくうちに「あれ、ここは少し自分とリンクしているかも」と思うところが生まれるかもしれないですし、今は自分との共通点が全くないと思っているからこそ、ツトムをどんどん知っていく作業が楽しみでもあって。
僕は自分とは真逆だったり、全く違う人物をお芝居で演じられることに魅力を感じたりもするので、向き合うのが楽しみな役柄ではありますね。
(インタビュー後編に続く)

悪童会議 第二回公演 ミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』は、2024年5月4日〜5月12日まで東京・品川ステラボールにて上演されます。ほか公演に関する最新情報は、下記のInformationより公式サイトや公式Xをご確認ください。

☆Information
■悪童会議 第二回公演 ミュージカル『夜曲〜ノクターン〜』

【日程】2024年5月4日〜5月12日
【会場】品川ステラボール

【作】横内謙介
【演出】茅野イサム
【上演台本・作詞】浅井さやか
【音楽】YOSHIZUMI
【振付】桜木涼介

【出演】
十五 役/立花裕大 ツトム 役/糸川耀士郎 虎清 役/長田光平
サヨ 役/川原琴響 千代姫 役/MIO ゴロウ 役/松本亮
玉野尾の眷属 役/鈴木亜里紗、詩織、福田真由、アイザワアイ
白百 役/唐橋充 乳母 役/野口かおる 黒百合 役/大湖せしる
玉野尾 役/岡幸二郎

【美術】松生絋子 【殺陣】清水大輔(和太刀) 【照明】林順之 【音響】青木タクヘイ(ステージオフィス)
【衣裳】小原敏博 【ヘアメイク】糸川智文(STRINGS) 【演出助手】長谷川景
【技術監督】寅川英司 【舞台監督】佐光望 【映像】ワタナベカズキ
【宣伝美術】藤尾勘太郎 【宣伝写真】小松陽祐
【WEB】ブラン・ニュー・トーン(かりぃーぷぁくぷぁく、阿波屋鮎美)
【制作】高橋戦車、MIMOZA 【プロデューサー】中山晴喜
【主催】アミューズキャピタルインベストメント、悪童会議

【チケット料金(税込・全席指定)】
前売当日10,000円
パンフレット付 12,000円 来場時に公演パンフレット(販売価格2,000円)引換
ヤング券(U-22)6,000円 一般発売時以降取扱(各回枚数限定)
一般発売中

≪公式サイト≫
https://akudoukaigi.com/
≪公式X≫
https://twitter.com/akudoukaigi

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