校條拳太朗×杉江大志が「目を向けるべきことに気付かされる､意味のある作品」と語る､復讐劇のその後を描く舞台「WORLD ～Run for the Sun～」インタビュー特集【前編】
2021年に上演された舞台「WORLD ～Change The Sky～」の続編となる今作から、スマートボーイズでは校條さん×杉江さんにインタビュー！ 復讐のために連続殺人という凶行に及ぶ主人公と、殺人教唆を行っていた幼なじみという難役に挑んだお二人に、今作への意気込みをたっぷりと語っていただきました。
前編・後編の2日連続更新から、本記事では前編をお届けいたします。
シリーズ上演されている舞台「WORLD」とは、2013年に初演、2016年に再演、そして昨年2021年に再々演されたジェットコースターサスペンス。
その最新作として上演される舞台「WORLD ～Run for the Sun～」は、昨年上演された「WORLD ～Change The Sky～」の続編となっており、前作に引き続き校條拳太朗さんと杉江大志さん、佐々木優佳里さん(AKB48)がメインキャストを務めるほか、今作ではフクシノブキさん、田中尚輝さんなど新キャストも参加。
「WORLDシリーズ」初演から続投となる田中稔彦さん、金山一彦さんも出演し、山木 透さん、柏木佑介さんも前作より引き続き登場します。
強い復讐心から凶行に及んでいく龍司、龍司と同じ孤児院で育ち、新婚の妻と暮らす男・相沢顕示(演・杉江大志さん)、奥多摩の孤児院で殺害された保育士の妹で、事件の真相を追う飯島久留美(演・佐々木優佳里さん)という3名を中心に、過去の事件関係者や、龍司の行方と事件の背景にある真相を追う刑事や雑誌記者たち、登場人物それぞれの思惑や生き様が交錯する群像劇ともなっており、観客にも多くの思考を迫る衝撃作となりました。
そして今作「WORLD ～Run for the Sun～」では、前作のラストから1年後が経過。
復讐を遂げきることができずに、警察から逃亡した三上龍司。龍司に対する「殺人教唆」の罪で逮捕され、現在服役中の相沢顕示。1年前に龍司と出会い、行動を共にしたことで共犯として逮捕された飯島久留美。ほか前作にも登場した面々や新たな登場人物も加わり、それぞれの今の姿が描かれていきます。
スマートボーイズでは今作のキャストから、前作に引き続き出演する校條拳太朗さん×杉江大志さんにインタビュー。
それぞれ復讐劇の果てにある日々を生きる、難しい役柄に再び挑む意気込みと、「WORLDシリーズ」への想いを語っていただきました。
【インタビュー前編】
――シリーズ4度目の上演作となる「WORLD ～Run for the Sun～」は、前作「WORLD ～Change The Sky～」の1年後を描く初の続編となります。今回の上演が決まって、お二人はどう思われましたか？
校條拳太朗(以下、校條) 前作だけでも、物語としてはもちろんラストシーンがありましたけど、絶対に登場人物それぞれに“その後”がある終わり方だったので、演じた身としてはその先をまた生きられる、ということが純粋に嬉しかったです。
杉江大志(以下、杉江) 僕も同じく。前作の結末でも一つの区切りがあったわけですけど、一件落着と言えるラストではなく、みんなが「うわ～！」っていう混乱状態になって終わったので……その混乱の先がどうなるのか。登場人物のことを考えると、個人的には“その先”の方が見たいなとも思っていたので、続編を演じられるのは楽しみです。
――では改めて、
校條 僕が演じるのは三上龍司という役で、大志が演じる相沢顕示と一緒に、奥多摩の孤児院で育ちました。そんな彼らが幼かった19年前、孤児院での親代わりだった大切な存在を殺害されてしまい……。前作では、大人になった龍司が復讐計画に動き出して、彼が連続殺人へと及んでいく、その一連の行動が描かれています。
19年前の事件から、様々な人物が再び動き出すきっかけを作ったキャラクター、と言えるかもしれないですね。
杉江 僕が演じる相沢顕示は、龍司と同じ孤児院育ちで、今は結婚して幸せな生活を送ろうとしていて。そんな時に龍司の犯行を知って止めようとするけど、実は……龍司が復讐をするよう、必要な情報を流して操っていたのが顕示だった、というのが前作の結末で暴かれまして、今作では殺人教唆の罪で刑務所に入っています。
だからある意味、龍司とは復讐の同志って言えるのかな？ 顕示は自分の手を汚さずに、龍司のことを利用していたんですけど。
三上龍司(みかみ りゅうじ) 役：連続殺人犯。19年前の奥多摩孤児院殺人事件の犯人「柳原警視監」への復讐計画を現在も遂行中。
相沢顕示(あいざわ けんじ) 役：龍司と同じ奥多摩の施設で過ごしていた。1年前「殺人教唆」の罪で逮捕、現在服役中。
杉江 二人とも、こうして起きたことを説明するだけだと、かなり印象が変わってしまいそうな役柄なんですよ。気になる方は、できれば前作のDVDをご覧いただきたいです！
――前作の序盤では、龍司が連続殺人という凶行に及んでいく一方、顕示は復讐心を持たずに生きていこうとする姿が描かれていましたよね。観客にとっても、登場人物の中では顕示が一番共感しやすい存在だったのではないかと思います。
杉江 そうですよね。それにきっと、観客の方は「顕示が龍司のことを止めてあげて！」という気持ちになっていたんじゃないかな。
――それが結末では、観客も裏切られるような展開に！ 復讐心にとらわれた龍司と、自らの日々を守るために殺人教唆をしていた顕示、その姿をお二人はどのように感じられましたか？
杉江 劇中で、顕示が龍司に対して言っていたことは正論ばかりなんです。刑事もたくさん出てくるお話なので、犯罪者を諭すような言葉は、普通だったら“正義側”である刑事たちが言ってもいいことなんですけど、それをあえて顕示に言わせている。
でも、その正論を言っていたやつが、実は……という展開になるのは、この作品でもすごくメッセージ性がある部分だなと感じていて。そういう嘘や矛盾があるのが人間なのかな、とも思いますし、僕も演じる上では、顕示が正義っぽいことを言う時には、本心に近い感覚で言っていたと思うんです。
――顕示としても、龍司の犯行を止めようとする気持ちや、復讐を無意味に感じる気持ちは、全てが嘘ではなかったと。
杉江 多分、龍司を止めようとする言葉は、顕示が自分に向けても言っていた部分があったんじゃないかな、と思いながら演じていましたね。
それに人の考えって、場面によっても変わるものだと思うんですよ。起きたことに対して、その時その時で必要な選択をしていくから、「昨日の自分が言っていたことと、今日は違うことを思う場合もあるよね」っていう。顕示の裏切りは、そういう人間性を描いた部分でもあるんじゃないかなと思っていたので、すごく意味のある展開だと感じました。
校條 顕示みたいな人は、実は世の中にはたくさんいるような気がして。一つの顔だけじゃない……日本人って国民性として、二つ以上の顔を持っている、裏表を使い分けることが普通になっている人が多いって聞いたことがあるんですけど、“どっちが本当の顔”とかじゃなくて、大志が言うように、“昨日言ったことと、今日思うことが違う。でもどっちも本音だ”っていうことはすごくあると思うんです。
だから、作品として顕示を見ると「裏切られた」と思うかもしれないんですけど、実は多くの人が持っている部分を象徴している存在なのかな、と思いました。
校條 それに“物語”だから客観的になれる部分もあって、殺人は現実にも起こりえることではありますけど、やっぱり僕らの日常に近い話ではないと思うから……だから、殺人犯の龍司にも寄り添って考えられる。
非日常の世界ではあるけど、「WORLD」を見ると、自分の周りにも目を向けるべきことはたくさんあると気付かされる。それが、この作品を見る意味の一つにもなるのかなと思いました。
――前作では、復讐のためとはいえ、殺人を犯す龍司の姿に最初は全く共感できなかったのですが、次第に寄り添いたくなってくるというか、言ってしまえば同情心が芽生えてしまって。気付くと、感情移入するキャラクターが顕示から龍司に変わっていた気がします。
校條 あれだけのことをしている龍司にもそう思えちゃったりすることが、やっぱり“物語”なんですよね。
杉江 そういう風に感じていただけたなら、僕たちにとってはすごくいいお客様(笑)。そこまで観ていただけて嬉しいです。
真っ直ぐな人の言動は信用できるし、真剣な想いは理解してあげたいなと思うのも、人間の心理であって。だからやっぱり、龍司に寄り添いたくなるし、観客に対して嘘をついた人のこと、つまりこの作品でいうと顕示のことは見離しちゃう、というのも人の感覚そのものですよね。
杉江 振り返ってみたら、自分の人生でもそういうことはたくさんあるし。「尊敬している先生の話だからしっかり聞いていたけど、今思うと結構浅いこと言ってたな」とか(笑)。
校條 あるある(笑)。
杉江 あと、殺人ってシンプルに悪だし、絶対にダメなことだけど、「じゃあ、なんでダメなんだろう」って真剣に考えたことは、そういえばあるのかなって。
そういうことが、世の中にはいっぱいあって……世間全体の価値観として、生まれたときからの積み重ねで思い込んでいることはたくさんあるけど、その価値観がどうして正しいのかを考えたことはないよな、って気付かされましたね。皆さんにも、改めて考えてみてほしいなって思います。
「WORLD ～Run for the Sun～」は、2022年9月3日～9月11日まで東京・こくみん共済 coop ホール／スペース・ゼロにて全11公演が上演されます。チケット情報などの公演詳細・最新情報は、下記のInformationより公式サイトをご確認ください。
☆Information
【公演概要】
「WORLD ～Run for the Sun～」
公演日時：2022年9月3日(土)～9月11日(日)全11公演
会場：こくみん共済 coop ホール／スペース・ゼロ
■キャスト
校條拳太朗 杉江大志 佐々木優佳里(AKB48)
田中稔彦 小笠原 健 フクシノブキ
山木 透 柏木佑介 田中尚輝 武田知大 川口直人 川名浩介
柴 小聖 赤石ノブ 水野花梨 加藤大騎 谷口千明
斉藤レイ
水谷あつし 鬼束道歩 藤原習作
金山一彦 他
■スタッフ
脚本：菅野臣太朗
演出：橋本昭博
音楽：野田浩平
企画：古河 聰
主催：舞台「WORLD」製作委員会( Ask ／サンライズプロモーション東京)
こくみん共済coop ホール／スペース・ゼロ 提携公演
■チケット 一般販売中
前売り：9,800円(全席指定/税込)
当日券：10,300円(全席指定/税込)
特典付きチケット：11,800円(税込)(パンフレット付き)
※全席指定席チケットと特典付きチケットは、座席の優劣はございません。
■お問い合わせ
サンライズプロモーション東京：0570-00-3337 (平日 12:00~15:00)
【あらすじ】
「私が憎んだその人は、世界で一番生きてほしい人でした…」
一年前。私は二人の男を殺しました。
その罪で一度は警察に捕まったのですが、私は未だに逃亡生活を続けています。
私が本当に殺したかったのは、彼らではありません。
私が本当に殺したかったのは、貴方の命を奪ったあの男です。
その思いは変わりません。
そして、遂にその時がやって来ました。
楓先生、私は今…横須賀に居ます。
≪公式サイト≫
http://world-the-stage.com/
≪公式ツイッター≫
https://twitter.com/WORLDSTAGE_info
ハッシュタグ #WORLD2022
