【10/10「月の章」開幕直前!】佐伯大地・横田龍儀・岩崎孝次による前回の狂言公演「狂言男師〜夏の章【蚊相撲・呼声】〜」振り返りレポートをお届け!

若手俳優が狂言に挑戦する「狂言男師」シリーズの第4弾・狂言公演「狂言男師〜夏の章【蚊相撲・呼声】〜」が、東京・セルリアンタワー能楽堂にて7月9~10日の2日間に渡り上演されました。

10月10日より、第5弾の狂言公演「狂⾔男師〜⽉の章【呼声・棒縛】〜」の開幕も控える「狂言男師」は、日本の伝統芸能を若い層が気軽に楽しめるように、若手俳優たちが「能楽(能+狂言)」に挑む舞台。
その第4弾となる本作は、シリーズ2度目の出演となる佐伯大地さん、狂言に初挑戦する横田龍儀さんがW主演を務めました。また、2020年1月に「能楽男師」として始動したときから毎シリーズ参加し、企画者でもある岩崎孝次さんも出演。

スマートボーイズでは、7月9日の18:30公演の模様を、オフィシャル写真と共にお届けします。

【7月9日18:30公演レポート】
まず狂言とは、対話が基本のセリフ劇。当時の庶民の日常や説話などから人間の習性や本質を切り取り、「笑い」にします。狂言の定番キャラクター「太郎冠者(たろうかじゃ)」(※使用人を意味する)を始め、様々な登場人物たちが織りなす物語は、今でも通じる普遍的な面白さがあり、いわば「コント」に近い喜劇です。

能楽堂は、メインとなる正方形の舞台と、舞台左奥から続く「橋掛り」と呼ばれる渡り廊下で構成され、メイン舞台の後方には巨大な松の絵が描かれています。
そんな上質な和の空間で最初に上演された演目は、「呼声」。

まず橋掛りから登場したのは、主人役の岩崎さんと次郎冠者役の横田さん。能楽の基本動作の「摺リ足(すりあし)」で、地面に足を摺るようにスススススッと静かに歩きます。

横田龍儀さん
主人と次郎冠者は、佐伯さん演じる太郎冠者が無断欠勤していることに腹を立て、太郎冠者の家へ。しかし、「留守を預かる隣の者」と声を変えて居留守を決め込む太郎冠者に、2人は「平家節」や「小歌節」といった中世に流行した歌を使って呼びかけます。
独特なテンポの「平家節」に、「狂言男師」初参加の横田さんが果敢に挑み、見事に歌いきりました。

「太郎冠者どの内にござるか。内にござらばお目にかかろ」「太郎冠者どの留守でござる。ご用ござらば仰せおかれ」と、次第にリズミカルに拍子をとってウキウキで声をかけ合う主従3人。夢中になって踊り出してしまう滑稽さが妙に面白く、客席からはクスクスと笑いが起こりました。

佐伯大地さん
1演目の終了後は、岩崎さんがMC役でキャストのミニトークショーが。横田さんは「緊張がとけない、とけない!」と、2公演目もガチガチのよう。それもそのはず。タイトな稽古スケジュールの中で、慣れない古語のセリフや「平家節」などの節をつけて歌う「謡(うたい)」を習得しなければならなかったのですから。
「謡」を覚えるために、佐伯さんと横田さんは狂言指導の善竹大二郎さんの「謡」をふだんから聞いていたらしく、佐伯さんは「40歳になる先生の声を枕元で聞いてました。おじさんの声(笑)」といたずらっぽい笑みを浮かべます。横田さんもすっかり「謡」が頭から離れなくなったようで、「楽屋に戻ってからも、“太郎冠者殿ぉ~”って」と口ずさんでいることを明かしました。

岩崎孝次さん
次の演目は、「蚊相撲」。ブーン……と、蚊の羽音が気になる夏にピッタリの演目です。
横田さんが演じるのは、相撲取りを雇いたい大名。その候補者を探しに行くことになる太郎冠者を、佐伯さんが演じます。
大名役の横田さんのセリフ量はたしかにかなりの量で、「相撲取りを3000人抱えたい」という無茶な相談を太郎冠者にします。「減らしたほうが利口です」と進言されると、「500人」と、まだまだ現実味のないことを言う大名。結局1人に決めますが、見えっ張りな大名と、それとなくたしなめる冠者の些細な会話も全て古語のはずなのに、聞いているとなんとなく意味がわかって面白いから不思議です。

しばらくして太郎冠者が連れ帰った体つきのいい男……実は人間に化けた蚊の精を演じる岩崎さんは、口を尖らせたひょっとこのようなお面をつけて登場。
男の力量をはかるため、大名自ら相撲の相手をすることに。
土俵に上がると、蚊の精の口先には「くちばし」という細長い管が。そして、「ぶぅ――ん」と大名の血を吸います。
一瞬の出来事に大名は混乱しますが、相手が蚊であることに気づき、太郎冠者に扇子で扇いでもらい撃退。
ラスト、舞台上に倒れた蚊の精が「ぶぅぅん。……ぶ―――ん」とうめき声にも似た寂しげな声を上げ、背中を丸めて去っていく姿が何とも言えないシュールさを醸していました。
1日目の公演を全て終えた3人はホッとした様子で、「顔が晴れ晴れしてますね!」と岩崎さんに声をかけられた佐伯さんは、「1日目を終えて、狂言の舞台にも慣れて晴れ晴れしてます」と満面の笑み! 稽古期間も熱心に取り組んでいた佐伯さんは、ほぼ休憩なしで練習を続けることもあったそう。横田さんも「そのおかげでセリフが入ってきましたね。何回も練習しましたから」と、限られた時間を最大限に使ってパフォーマンスを仕上げるのはさすがプロです。
終演後には、狂言指導を行っている善竹大二郎さんが狂言の知識を教えてくれるコーナーも用意されていました。この回では、狂言ならではの動物の鳴き声を紹介。犬は「びょう、びょう」など、鳴き声だけでは何の動物かわからない独特の表現ばかりで、佐伯さんも横田さんも驚きを隠せません。馬や鶏など、もはや文字化するのが困難なほど難しい鳴き声に無茶ブリで挑戦させられる佐伯さんの姿も……。
狂言版・動物鳴きマネで会場を沸かせ、最後は岩崎さんの「今後も「狂言男師」をよろしくお願いいたします!」という挨拶で公演は締めくくられました。
古語や歴史の知識がなくとも楽しめ、滑稽なやりとりを大真面目に演じる様子もクスッと笑える面白さがある狂言。伝統芸能と聞くと敷居が高そうに思えるが、足を運んで見てみると、現代の感覚と変わらない“笑い”が詰まっています。今後の「狂言男師」も、たくさんの笑いを届けてくれるに違いないでしょう。

【あらすじ】
●呼声(よびこえ)
主人に無断で休んだ太郎冠者。
主人と次郎冠者は連れ戻すために太郎冠者の家へ向かう。
家の前で声をかける次郎冠者。

家にいることがバレたくない太郎冠者は声を変えて居留守を使う。
今度は主人が声を変えて太郎冠者に声をかけるが、主人と分かった太郎冠者はまた声を変えて居留守を使う。太郎冠者を懲らしめたい主人と次郎冠者は「平家節」や「小歌節」を使って太郎冠者に声をかける…

●蚊相撲(かずもう)
相撲取りを雇いたい大名は、家来の太郎冠者に候補者を探しに行かせる。
街道で探していると、体つきの良い男が現れ、声をかける太郎冠者。実はその男は蚊の精で、人間に化け、相撲取りになり、血を思う存分吸うために、太郎冠者の前に現れたのだった。
相撲取りを連れて戻ったことを喜ぶ大名は、力を見極めるため、相撲を取ることに……。

10月10日より開幕の狂⾔公演「狂⾔男師〜⽉の章【呼声・棒縛】〜」には、健⼈さん&⼤崎捺希さんがW主演! この機会に日本の伝統芸能に触れてみてはいかがでしょうか。

健人さん&大崎捺希さんによる新作狂言公演が、10月10日より開幕!
次回作、狂⾔公演「狂⾔男師〜⽉の章【呼声・棒縛】〜」が、10月10日より東京・セルリアンタワー能楽堂にて上演。「狂言男師」シリーズの公演詳細は、Informationより公式HPをご確認ください。

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☆Information

■公演概要
◆狂⾔公演「狂⾔男師〜⽉の章【呼声・棒縛】〜」
◆出演:健⼈、⼤崎捺希、岩崎孝次、善⽵⼤⼆郎
◆上演期間:2021年 10⽉10⽇(⽇)
◆上演タイムスケジュール
第1部 12:00〜13:30(11:30開場)
第2部 15:00〜16:30(14:30開場)
第3部 19:00〜20:30(18:30開場)
◆会場
セルリアンタワー能楽堂
〒150-0031 東京都渋⾕区桜丘町261
地下2階(渋⾕駅徒歩5分)

◆チケット料⾦
全席指定:8,800円 (税込)
⽻⾐部屋:30,000円(税込)※3名まで⼊場可
<⼀般販売(先着)>
ローソンチケット
Lコード:33651
https://l-tike.com/kyougendanshi/
発売⽇:9⽉26⽇(⽇)10:00〜

■スタッフ
監修:善竹十郎
狂言指導:善竹大二郎
制作:HERO
協力:一般社団法人善竹狂言会
撮影:新宮夕海
≪狂言男師公式HP≫
https://www.kyogendanshi.com

≪公式Twitter≫
@kyogendanshi