山本一慶「(共演の)井澤勇貴はリズムの波長がバッチリ合う役者」ロマンティックコメディ「さよなら、チャーリー」に主演、2/16開幕直前SPインタビューをUP!「夏の夜の夢」楽屋裏での女装姿が公演決定の決め手!?

山本一慶さんが主演を務めるロマンティックコメディ『さよなら、チャーリー』が、2024年2月16日より池袋・あうるすぽっとにて上演されます。

本作は、ブロードウェイにて1959年に初演、その後映画化もされ、日本初演の1969年から現在まで上演を重ねている名作。物語は、人妻との浮気現場をその亭主に見つかりピストルで撃ち殺されたチャーリーが、数々の女性と浮名を流してきた天罰で、この世に女として転生したことで始まる、おかしくも切ないファンタジックコメディです。

山本さんは女性に転生してしまうチャーリー役を演じ、チャーリーの親友ジョージ役には井澤勇貴さん、チャーリーを銃殺してしまう大物プロデューサー/アレキサンダー役にはルー大柴さん、その夫人ラスティ役には大湖せしるさん、さらに神谷敷樹麗さん、枝元 萌さん、柳内佑介さんが出演します。

スマートボーイズでは、主演の山本さんにSPインタビュー! 台本を読んだ感想や井澤勇貴さんとの共演、さらには本作が決まったきっかけなどを語ってもらいました。
チャーリー・ソレル役の山本一慶さん
――よろしくお願いします。まずは今作のあらすじと、演じられる役どころを教えてください。

山本 僕が演じるチャーリー・ソレルは、女遊びが激しくて、ある日人妻との浮気現場を亭主に見つかって殺されます。でも、神様のイタズラによって、体が女性になって、転生してくるという、現代における“転生モノ”の先駆けのお話です。転生したてのチャーリーは体が女でも精神は男という設定ですけど、チャーリーがこれまでしてきたことを女性の目線から感じることで、女性に対しての考え方も徐々に変わっていって、自分が女性だっていうことも認識していきます。「ロマンティックコメディ」というジャンルですけど、コメディというより、深いところに物語があると感じていて、最終的にチャーリーはどういう選択をしていくかというところをぜひ観ていただければと思います。もし僕が女性の体に入ったら精神はどっちに傾くのか、すごく気になるところではありますね。

――本作は1959年にブロードウェイ初演と、歴史のある作品ですね。

山本 これまで上演されたほとんどの公演では、チャーリーは女性が演じられていて、当時の台本を見るとチャーリーのところに「女優」と書いてあって、元々この作品は女性にチャーリーを演じてもらう想定だったんだなと感じつつ、男性がチャーリーを演じることの意味を探しながら、それを見つけた時に、歴代やってきた公演の中でも、一味違うアプローチになるものが生まれるんじゃないかな、と感じているので、今から楽しみですね。
――台本には、どんな感想を持たれましたか。

山本 書かれた時代が今から60年以上前ぐらいということもあって、そのまま上演したら炎上しちゃいそうなシーンがいっぱいありますが、だからこそ当時の人たちに向けての投げかけを、僕らは理解しなきゃいけないのかなとは思いますし、現代の人が60年以上前の作品を観て改めて何を感じるのか、そしてどういう反応をしてくれるのか、すごく楽しみですね。それと人の名前が多くて……。カタカナは比較的覚えやすい方ですけど、どれも読みにくいカタカナばかりなんです(笑)

――本作の出演陣を見ると、共演経験のある井澤勇貴さん、大湖せしるさん、ルー大柴さんがいらっしゃいます。大湖さんとルーさんはロンドンコメディ「Run For Your Wife」以来ですね。

山本 「Run For Your Wife」では、大湖さんが僕の妻役で、ルーさんが友人でしたが、本作では大湖さんとルーさんが夫婦役で出演されます。「Run For Your Wife」を観劇された方は、今回の設定だけでも面白いかもしれません。

――そして、井澤さんとは舞台「メサイア」シリーズやミュージカル『憂国のモリアーティ』シリーズなど数多くの作品で共演されています。

山本 井澤さんとは僕がデビューした頃から面識はありましたが、こんなにも仲良くなるなんて、当時は思ってもみませんでした。まさか本作で井澤さんを愛してしまう役を演じるとは……。

(一同笑)

山本 しかも一緒に踊るシーンもあるらしく、本当に恥ずかしいです。井澤さんというよりも、僕が男の人を好きになることは無理なんですよ(苦笑)。女性的なものは1ミリもないですし、言い方悪いかもしれませんが、女性好きですよ(笑)。なので今現在は転生したばかりのチャーリーと全く同じ気持ちで、もしかしたらその部分だけ男性がチャーリーを演じる意味があるのかなとは思います。

――ちなみに井澤さんは、初めての戯曲の作品で、振り回されるしがない役を演じるのも初めてだそうです。

山本 本当ですか? 井澤さんちょっとてこずりそう。しかもセリフ量も膨大で、初めて台本を開いた時、絶句したんじゃないかな(笑)。井澤さんとは「メサイア」や「憂国のモリアーティ」で長年共演していますが、意外とセリフ回しやガッツリとシーンを動かす会話がなくて、「メサイア」の時は殺陣を数手絡んだぐらいでした。実際に蹴りを当てていたんですけど、全然痛くなくて、お互いの力が分散して、ハイタッチをしている感覚だったんです。そういうリズムの波長がバッチリ合う役者さんって、井澤さんとジェー(山田ジェームス武)くんの2人ぐらいですね。今回アクションはありませんが、きっと波長は合うと思うので、本番が楽しみです。そしてその波長がルーさんに乱されないかというのが課題かもしれません(笑)。

――事前に井澤さんと共演について連絡し合ったりはしましたか。

山本 (1月下旬の取材時点で)まだお互い台本を読み込んでからじゃないと深い話は出来ないとは思いますけど、「井澤さんと共演できるのは楽しみだね」という話はずっとしていました。

――本作は山本さんと井澤さんとの会話劇が、見どころの一つだとお聞きしました。

山本 最初に台本を読んだ時、序盤は僕と井澤さんとの会話がずっと続くんですよ。正直、本当に面白くなるのかなって思ったんですけど、読んでいくうちに怒涛のように面白くなっていくんです。「転生モノ」の作品は、今でこそ現代の皆さんは、色々な作品をご覧になっているので、「これが現実で起きているんだよ」というのを受け入れられると思うんですけど、原作が作られた当時の人達は、きっと異質でSFのように感じてしまうからこそ、前半で2人の会話を引っ張ることによって、現実に帯びさせているんだなっていうのを感じました。現実を受け入れた2人がいるからこそ、そこに新しい登場人物が関わってくることで、リアリティが増すというか、単なるコメディコントにならず、チャーリーの成長や心の動きが、後半ですごく見えやすくなっていると思います。

――冒頭で仰っていた「コメディというより、深いところに物語がある」の部分につながるんですね。

山本 そうですね。この時代に書かれているものは“深い”です。いろいろな解釈ができますし、当時の人たちは現代よりさらけ出さないというのを感じました。自分を表面にあまり出さず、どちらかといえば閉じ込めてるのかなというのもあって、“実はこう思っていた”というのがどんどん出てくる印象だったんです。
現代の人は、発信をする方が多いと思うんですけど、当時の人たちはまだ自分の素をさらけ出すというよりは、人に対して壁があったのかな。その壁が“転生”という不思議な現象によって取っ払われて、みんなの素や本心が見えてきて、その本心を聞いたからこそ、人は心を動かされていくんだなというところが本作の見どころかなと思いますし、僕と井澤さんの会話劇が中心なので、井澤さんのファンも僕のファンも、ぜひ劇場まで足を運んで欲しいです。
――山本さんの女性役といえば、昨年上演の「夏の夜の夢」でハーミア役を演じられたばかりですね。

山本 ハーミアの場合は、普通に女の子を演じるだけだったんですけど、今回のチャーリーは自分の感覚に近いんですよ。山本一慶が女になった時の戸惑いがそこにはあって、ハーミアを演じた時は出番前に「私はハーミア」と思ってから舞台に上がればいいだけでしたが、今回は舞台上で徐々に女性としての自覚が芽生えていく過程を見せることが個人的には難しいなと思っています。

――ハーミアは「0」から一気に「100」に変えられるのが、チャーリーは「0」から徐々に段階を踏んでいく作業が発生するんですね。となると、チャーリーを演じる上で細かい演技が求められると思いますが。

山本 そうですね。チャーリーは自発的にああしようこうしようではなく、全部“気付き”なんです。他者の発言や思っていたことを聞いて、「あぁ、そうだったんだ」と気付いて徐々に変化していきます。女性がチャーリーを演じていれば女性に見えなくすればいいいだけなんですけど、男性がチャーリーを演じると、男性に見えちゃっても嫌だし、女性に見える武器って、もうメイクとか容姿でしかなくて……。要姿で戦わなきゃいけないというのも恥ずかしいし。

――インタビュー前に、スタッフさんから聞いた話ですけれど、「夏の夜の夢」公演の楽屋裏で、ハーミア姿の山本さんが男っぽくと歩いているのを見たプロデューサーが、今回の公演をやろうと決めたそうですね。

山本 女の子が男みたいにズカズカと歩いているのを見て「これだ!!」と思ったそうです。プロデューサーさんも怖いことしますね。

(一同笑)

山本 楽屋で女の子が普段やらないようなポーズをみんなの前で自撮りしたりして、ハーミアを演じた時は本当に楽しかったです。

――ある意味「夏の夜の夢」の楽屋裏が、今回のステージになりそうですね。

山本 そうですね。それが今回皆さんに観てもらえるなら僕も楽しみです。もしかしたら本番を迎える時には気楽で気楽でしょうがないかもしれないし、そうなっていたらとてもハッピーです。
――山本さんといえば、1月上演の舞台『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』で演出を務められました。近年は俳優業だけでなく、演出にも携わっていますが、演出を経験した上で俳優として役立っていることなどありましたら教えてください。

山本 演出として舞台『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』は3回目になるんですけど、純粋な演出家というより役者に感覚が近い部分があって、演者がやりにくいことや嫌だなと思ったことを、どちらかというと役者の目線で感じることの方が多かったですね。役者がやりやすく、発信したいことを積極的に言ってもらうような雰囲気作りを心がけました。いい意味で演出家としてのプライドがないというか、作品を良くするために、演出だけど役者に近い考えをキープしたのはいい選択でもあり、だからこそ頑固にドンと演出家がいて、みんなピリッとしてちょっと怖いみたいなのも必要なのかなと思いました。
もちろん言う時はきちんと言いますが、そのいい塩梅をこれから身につけていきたいなとも思いつつ、でもやっぱり今役者でこれだけやってきたことが、役者に寄り添うことができる経験値にもなっているんだなとは感じたので、それはなくさないでいこうとは思いましたね。
実際のところそういう演出家さんって僕の周りにはいないですし、完成した『HIGH CARD the STAGE – CRACK A HAND』を舞台上で観ていても、“異質”だなというのは正直感じました。嬉しいことにみんなノビノビやってくれていたし、でも脱線もしがちで、それを戻す作業を本番が始まってからもずっとやっていました。今回とてもいい経験をさせていただきましたし、これからも頑張ろうという活力になりました。

――これらの経験を踏まえての「さよなら、チャーリー」出演になります。

山本 今度は役者として頑張らないといけませんが、セリフを覚えられるかわかんないですね。

(一同笑)

山本 台本を見ると、“井澤さんとの合いの手”がとても多いんですよ。「Run For Your Wife」の時も合いの手が多かったんですけど、2人のリズムや感覚が共鳴していくほど気持ち良くなると思うので、稽古でどれだけ信頼関係を作りつつ、リズムをお互いにキャッチできるかがポイントとなりそうです。
――ドレス姿のチャーリーの美しさが印象的ですけど、チラシビジュアルのチャーリーもかなりパンチのあるビジュアルですね。

山本 特に“トレンチコート”、いいですよね。海外のドラマや映画を観ると、トレンチコートで出てくるキャラクターって、かなりの確率で“変なヤツ”が多いんです。それこそ露出狂の人のイメージはありますし、感情が欠落している人とか、作品のキーマンだったり。そういう点ではチャーリーのトレンチコート姿はピッタリだと思います。
――では最後に公演を楽しみにしている方に向けて、メッセージをお願いします。

山本 男性の心から女性になる様を皆さんに観ていただけるところは、僕自身も新たな挑戦です。そういうお芝居を見る機会もこの作品だからこそだと思います。この作品では“人間の素”というか、チャーリーの死をきっかけに“素”をさらけ出していく人々が多く出てきますが、それって現代においても、誰かが亡くなったことによって、みんながその人たちを偲んだりすることはあると思いますし、それをこの作品ではコメディとして描かれています。なので、笑いながら人の生きる意味や、生きた意味を感じていただけたらなと言いつつ、何も考えずに観に来ていただけたらと思います(笑)。劇場でお待ちしています。

(インタビュー了)

【introduction】
1959年ブロードウェイ初演。「ティファニーで朝食を」の脚本で知られるジョージ・アクセルロッドの脚本・演出、ローレン・バコールのチャーリーで上演され、その後、1964年に映画化される。
映画は、「雨に唄えば」ヒロインで知られるデビー・レイノルズのチャーリーである。
日本での初演は、1969年日生劇場にて、浅利慶太演出、越路吹雪のチャーリーで上演。その後も人気作品として、元宝塚歌劇団男役トップスターや、池畑慎之介が演じた。

【STORY】
ここはハリウッドに近いカリフォルニアの海浜住宅地、チャーリー・ソレルの家。 今日はシナリオライターのチャーリーのお葬式。 取り仕切っているのは親友で映画監督のジョージ・トレイシーである。 しかし参列者は、チャーリーのマネージャーだったアーヴィングと、チャーリーが働いていたスタジオの社長夫人・フラニィのたった二人。 それもそのはず、チャーリーは数々の女性と浮名を流し、挙げ句の果てに人妻と浮気現場をその亭主に見つかり、ピストルで撃ち殺されたのだ。 その人妻・ラスティによると、チャーリーの体が海に落ちる音が聞こえたが、死体もそれきり見つからないらしい。 そんなある時、突然トレンチコートを着た人物が窓から入って来る。姿は女だがその動作と言葉遣いは男・・・しかもコートの下は裸の様子。 「どうしたんだ、俺だよ!チャーリーだよ」 とその人物は言う。 どうやらチャーリーは数々の女性を泣かせてきた天罰で、この世に女として転生してしまったのだ! こうしておかしな生活が始まるが・・・。


ロマンティックコメディ『さよなら、チャーリー』は2月25日まで上演。詳細はInformationから公式サイトをチェックしてください。


☆Information

ロマンティックコメディ『さよなら、チャーリー』

作:ジョージ・アクセルロッド
訳:小田島恒志
演出:岡本さとる
製作:アーティストジャパン

日程:2024年2月16日(金)~2月25日(日)
劇場:池袋・あうるすぽっと
出演:山本一慶、井澤勇貴/大湖せしる、神谷敷樹麗、枝元萌、柳内佑介/ルー大柴
料金:S席 8,500円 A席 7,500円(税込・全席指定)
チケット発売中
取り扱い:アーティストジャパン、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
お問い合わせ:アーティストジャパン 03-6820-3500 https://artistjapan.co.jp/

≪公式サイト≫
https://artistjapan.co.jp/performance/ajct_goodbye-charlie/

≪公式X(旧Twitter)≫
https://twitter.com/aj_gbc2024

関連News