村井良大「大切に演じていきたい」兄弟役・spiとの関係は?東野圭吾原作・藤田俊太郎演出で加害者家族の苦悩を描く「ミュージカル『手紙』2022」SPインタビュー【前編】

映画、ドラマ、舞台、そして2度のミュージカル化された名作が、2022年版として上演決定!
東野圭吾氏のミリオンセラー小説を、藤田俊太郎氏の演出で描く「ミュージカル『手紙』2022」が、2022年3月12日より東京建物 Brillia HALLにて上演されます。

スマートボーイズでは、本作で殺人を犯してしまった兄との繋がりに苦しむ主人公・直貴を演じる村井良大さんにインタビュー。兄・剛志役を演じるspiさんとの関係や、今作への意気込みを語っていただきました。

主人公・武島直貴役を演じる、村井良大さんのインタビューを2日連続更新!
「ミュージカル『手紙』」は、これまで映画やドラマとして映像化されてきた東野圭吾氏の小説「手紙」(文春文庫刊)を原作に作り上げられた日本発のオリジナル・ミュージカルで、2016年、2017年の2年に渡って公演が実施され注目を集めました。

その2022年版となる本作では、過去2作に続いて演出は藤田俊太郎氏、脚本・作詞は高橋知伽江氏、作曲・音楽監督・作詞は深沢桂子氏が担当。
キャストには、兄の罪によって加害者家族への差別に苦しむ弟・直貴役に村井良大さん。弟のために強盗殺人を犯す兄・剛志役にspiさん。直貴に思いを寄せ、彼の人生に大きな影響を与える女性・由実子役には三浦透子さんがそれぞれ新たに出演。
ほか、主人公の直貴と同じバンドを組む3人には、メンバー全員が楽器を演奏するジャニーズJr.の人気グループ、「7 MEN 侍」の中村嶺亜さん、佐々木大光さん、今野大輝さん。直貴の恋人・朝美役には青野紗穂さんが出演し、原作小説での世界観をそのままに、兄弟をとりまく人物たちの心情を、ミュージカルならではの楽曲と歌を通じて描きます。

「ミュージカル『手紙』2022」メインビジュアル
■あらすじ
この世界に たった二人だけの兄弟 どんな時も 二人で生きてきた

弟の進学費用のために空き巣に入り、強盗殺人を犯してしまった兄・武島剛志。高校生の弟・直貴は唯一の肉親である兄が刑務所に15年間服役することになり、突然孤独になってしまう。兄が殺人を犯した事実はすぐに広まり、加害者家族となった直貴に向けられる周囲の目は一変した。高校卒業を控えたある日、直貴の元に服役中の兄から1通の手紙が届いた。それから月に一度、欠かさず手紙が届くようになる。兄からの手紙には獄中での穏やかな生活が書かれている一方、直貴は「強盗殺人犯の弟」という肩書により、バンド・恋愛・就職と次々に夢を奪われ苦しみ続けていた。年月が経ち家族を持った直貴は、ある出来事をきっかけに、ついに大きな決断をするのだった。


■ミュージカル『手紙』2022 村井良大さんインタビュー【前編】

――『手紙』は東野圭吾さんの原作小説はもちろん、映画化、ドラマ化もされ、広く知られている作品です。そのミュージカル版として、国内では3度目の上演となる「ミュージカル『手紙』2022」ですが、村井さんは今作への出演が決まってどう思われましたか?

村井良大(以下、村井) 東野圭吾さんの原作もすごく有名な作品なので、その物語に参加できる、ということがやっぱり嬉しかったですね。しかも藤田俊太郎さんの演出によるミュージカルということで、どんな舞台になるのかな、とすごく興味が湧きました。

――『手紙』という作品は、以前からご存知でしたか?

村井 はい。山田孝之さんが主演の映画版を見ていたので、だいたいのストーリーは以前から知っていました。

――先ほどおっしゃったように、今作ではミュージカル版として藤田俊太郎さんが演出を手掛けられますが、村井さんはこれまでにも藤田さんの作品を観劇しており、今回は待望の顔合わせだと伺いました。

村井 藤田さんの舞台を観に行くと、まるで海外まで観劇にきたような、それぐらい作り込んである演出にいつも刺激をもらえるんですよね。その作品に合った形で、「日本でこれが見られるんだ」と思わせてくれる、今までに見たことがない演出をされる方だと思うので、いつもワクワクさせてもらっていて。
そんな藤田さんの演出を受けられる、この機会はまさに待望でした。

――そしてspiさんとの兄弟役も、演劇ファンにとっては嬉しい顔合わせかと。spiさんと村井さんは、2015年のミュージカル『RENT』以来の共演ですね。

村井 そうですね、実質7年ぶりかな?

――spiさんとの久々の共演には、どんなお気持ちでしょうか?

村井 spiの作品を観に行くこともありましたし、結構連絡も取っていたので、実はあんまり「久しぶり!」っていう感じがしなくて。
『RENT』ファミリーとは離れていても繋がっているというか、会った時にはいつもあの時の温度に戻っているような、不思議な関係で……ずっと会っていなくても、「久しぶりだね」という感じにならないんですよね。
そういう意味でもspiとは、久々の再会というよりは、お互いに『RENT』での一緒に過ごした時間が思い出させられるような、ちょっと特別な感覚があるんです。

――離れていた期間があっても、距離を感じない存在なんですね。

村井 だから懐かしいんだけど、安心できる……なんて言うんだろう? 実家に帰った感じとか、それこそ家族や、兄弟みたいな存在なのかもしれないですね。
もちろんコロナ禍で全く会えなかったり、舞台もあんまり観に行けず、という期間もありましたけども、ただ久しぶりに会っても、やっぱりspiは変わらないし、そこがいい。
でもお芝居をしてみたら、僕が2015年に出会ったspiとは変わっている部分もあるんだろうとも思うので、今から稽古が楽しみですね。


――そんなspiさんの変化と言えば。村井さんのTwitterでは、取材でお会いしたspiさんについて「身体がさらに鍛え上げられていてびっくり!」と書かれていましたよね。

村井 めちゃくちゃデカくなっていましたね!(笑) 元々ガタイがいいタイプなんですけど、さらに大きくなっていたので、「こんなにデカかったっけ!?」ってちょっとびっくりしました(笑)。

――劇中ではspiさんが兄役、村井さんが弟役になりますが、普段のspiさんにお兄ちゃんっぽさを感じることはありますか?

村井 僕とspiは1歳差で、実年齢ではほとんど離れていないんですよね。だから僕からは同い年感覚で、年上・年下という雰囲気はないな~って思っているんですけど……。
それよりも、spiは日本とアメリカのミックスで、一方の僕は東京と宮崎のミックスで(笑)。この間、「僕らで兄弟に見えるのかなぁ?」って聞いたんですよ。

――兄弟役として、一つの懸念事項が(笑)。

村井 そうしたら、spiがちょっと考えた後に「大丈夫、あるある! 遺伝子的にもこれくらいの違いはあるよ!」って言っていたので、まあ、それなら良かったなと(笑)。

――きっと、それぞれ雰囲気の違うお父さんとお母さんに似たんだろう、ということで。

村井 そうそう(笑)。spiとはやっぱり兄弟というか、家族に近い感覚があって。『RENT』をやってきた仲だと、お互いの痛いところ、つらいところも本当によく知っているから、なにか他の作品とは違った関係性があるんですよね。
上っ面じゃない、本当に濃い時間を過ごしたなと思いますし、いつ会ってもその時の感覚がよみがえってくるから、あの絆は変わらないなと感じています。

――ほか共演者の方々で気になる方や、共演が楽しみな方はいらっしゃいますか?

村井 特に共演が楽しみなのは、由美子役の三浦透子さん。三浦さんとは初めましてなんですが、先日パンフレット撮影をした時に、役者としての感性がすごく豊かで、一緒にやっていて安心感を覚えるような方だなと感じたんです。
今回は相手役になるので、今から三浦さんと一緒に時間を重ねていくのが楽しみだなと思っていて……すごく未知でもあり、期待感もあり。撮影での佇まいを見るだけでも、どんなお芝居をされるんだろう、早く稽古をしたいな、と思わせてくれる素敵な方でした。

――村井さんは、今回はほかにも初共演の方が多くいらっしゃいますね。

村井 そうですね。しかも今回は、キャスト全員がしっかりと舞台上でも関わってくるので、「この人とは全然絡みがないね」っていうのもなさそうで。皆さんがどういう風にやられるのか、僕も今から楽しみにしていますし、カンパニー全体の人数も多くはないので、一致団結して作るぞっていう雰囲気をすごく感じていますね。
何より藤田さんの演出ですし、原作もしっかりと面白い作品なので、この舞台には期待感しかないなと思っています。


――その中でも、直貴の若き日のバンド仲間として、中村嶺亜さん、佐々木大光さん、今野大輝さん(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)とは同年代を演じることになります。

村井 いや~、どうしましょう。もう若くないですからね! 『デスノート THE MUSICAL』で学生服を着た時に、「もうヤバいな」って思いましたもん(笑)。

――とはいえ今作では、村井さんが演じる主人公・直貴の高校時代から始まり、大人になるまでの約10年という長い時間の流れが描かれますよね。

村井 そうなんですよ、高校生からのスタートで。今回、背景としては1999年から2011年までを演じるんですが、その頃が僕にとってもリアルに、学生から大人になるぐらいの頃だったんです。
直貴よりもちょっと遅れて、僕は2000年頃に中学生とかだったので、ちょっと当時の空気感を思い出してみたりして……1999年って何が流行っていた頃なんだろう? 「たまごっち」って、このくらいでしたっけ?

――たまごっち、懐かしいですね! 初代のたまごっちは、それより前 (※1996年発売) かと。

村井 でも、それくらいの懐かしさですよね。劇中でもパカパカの携帯(二つ折りのガラケー)が出てきたりするので、僕自身も「あ~、あの頃は髪の襟足が長かったなぁ」とか思い出しながら(笑)。何かそういう描写にも、少し前のあの時代を感じますよね。

――劇中の小道具などにも、今とは少し違ったものがありそうですね。

村井 確か、2000年くらいが学生も携帯を持ち始めた時だと思うので。その上で、ミュージカルのラストシーンでは2011年に差し掛かるわけですけど、僕らにとっては大きな震災があった、あの記憶に残っている時に重なる、というのもひとつ大きいですよね。
そういう意味では、タイトルは「ミュージカル『手紙』2022」とされていますけど、劇中の物語は1999年から始まる、というのは一つの演出でもあると思います。

――年代をぼかして描くのではなく、あえて1999年から始まる物語になっていると。

村井 そこは藤田さん自身も悩まれたというか、オリジナルの年代でやるか、現代版としてアレンジし直すか、結構考えられたそうなんです。でも、やっぱり原作と同じ年代でやると。
やっぱりこの20年くらいの違いでも、差別というものは昔の方があっただろうとも思うし、逆にTwitterやSNSが今のようには普及していなかったから、情報が洩れないという意味ではもっと自由だったような気もするし……どちらがいい時代なのかは、難しいですよね。
1999年と現在では、「今だったらこうは思わないけど、当時は違ったかもしれない」という変化が、実は多くあるのかもしれない。人の考え方も時代とともに変わっていくものなので、今作ではそういった部分も、どこかに描かれているのかもしれません。

――ちなみに村井さんも、ご自身について変化や成長を自覚している部分はありますか?

村井 う~ん、どうでしょう? 成長というよりも、だんだんと自分のペースというものが分かってきたというか。前よりも、ある意味でスローダウンしているかもしれないです。
だけど人生経験は増えているので、作品に対する考え方は、よりビビッドになった感じがするかな、とは思いますね。

――自分のことが分かるとともに、作品に対する向き合い方も変わってきたと。

村井 昔は……それこそspiと出会った7年前とかは、まだ見える景色の全てが新しかったから、どこか反射神経でやっていた感じがするんですけど、今の方が適切な角度で向き合えているというか。そこは着実に、経験を重ねられているのかな、と思ったりもします。


――こうして経験を重ねてきた村井さんにとっても、『手紙』は内容やテーマにも難しさがあると思いますし、その複雑な心情を歌で表現するミュージカルとしても、要求されるものが多い作品なのではと思います。

村井 そうですね。ただ、「難しい」と感じるよりも、「大切にしたいな」と感じています。
すごく触れることが難しい作品でもあるし、実際に犯罪加害者を家族に持つ人や、近い環境の方もいるわけですから、その思いはきちんと意識しながら作り上げていかないといけないなと思うんですよね。
そういったリアルな部分は、藤田さんもすごく大切にしていると思いますし、この作品が持つメッセージやリアルさの密度をしっかりと感じながら、大切に演じていきたいと思います。

インタビュー後編に続く】

2月4日更新予定のインタビュー後編では、ミュージカル版として描かれる本作での音楽について、また村井さん自身とお兄さんとの兄弟関係についてもお話を聞かせていただきました。こちらの記事掲載もお楽しみに。

「ミュージカル『手紙』2022」は、2022年3月12日~3月27日まで全21公演が上演予定(※一部、貸切公演あり)。公演チケットは2022年2月5日より一般発売となります。
ほか詳細は、Informationより公式サイトをご確認ください。



※村井良大さんの2022年4月始まりカレンダー「村井良大 2022.04-2023.03カレンダー」がスマートボーイズより発売!詳細はコチラ(https://sumabo.tv/news/detail/468)

☆Information

■公演概要
【公演名】ミュージカル「手紙」2022

【原作】東野圭吾「手紙」(文春文庫刊)

【脚本・作詞】高橋知伽江
【作曲・音楽監督・作詞】深沢桂子
【演出】藤田俊太郎

【出演】村井良大、spi、三浦透子、
中村嶺亜(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)、佐々木大光(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)、今野大輝(7 MEN 侍 / ジャニーズJr.)、青野紗穂、
染谷洸太、遠藤瑠美子、五十嵐可絵、川口竜也

【ミュージシャン】村井一帆(pf)、えがわとぶを(Bass)、萱谷亮一(Perc)、中村康彦(Gtr)、古池孝浩(Gtr)、土屋玲子(Vln)、日俣綾子(Vln)、三葛牧子(Vln)

【会場】東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
東京都豊島区東池袋1-19-1

【公演日時】2022年3月12日(土)~3月27日(日)全21公演

【チケット料金】S席 11,500円 / A席 9,000円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可

【チケット一般発売日】2022年2月5日(土) AM10:00

【プレイガイド】
・チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/tegami2022/
セブンイレブン店頭

・イ-プラス
https://eplus.jp/tegami2022/
ファミリーマート店内(Famiポート)

・ローソンチケット
https://l-tike.com/tegami2022/
ローソン店頭/ミニストップ店頭(店内Loppi)

・としまチケットセンター
https://toshima-theatre.jp/ticket/ (24時間受付/発売初日は10時~)
電話:0570-056-777(特電:0570-000-589)10:00-17:00/臨時休業あり
窓口:としま区民センター1階 10:00-19:00/臨時休業あり
※電話は発売初日のみ特電
※発売初日のとしまチケットセンター窓口販売は無し

【主催・企画・製作】サンライズプロモーション東京 / MY Promotion / スペースポンド
【お問合せ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)

≪公式サイト≫
https://tegami2022.srptokyo.com/
≪公式Twitter≫
https://twitter.com/tegami2022
@tegami2022

ヘアメイク:井上京子、スタイリスト:秋山貴紀

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