阿部顕嵐「この作品を通して自分を見つめ直したり、色々考えるきっかけになったら」PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ラビット・ホール』4/9開幕目前SPインタビュー【前編】

2023年4月9日から東京・PARCO劇場にて、また他に秋田、福岡、大阪の全4都市で、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ラビット・ホール』が上演されます。
2007年にピュリツァー賞を受賞した戯曲「ラビット・ホール」(Rabbit Hole)は、傷ついた心が再生に至る道筋を、家族間の日常的な会話を通して繊細に描いた傑作として知られます。2010年には、ニコール・キッドマンの製作・主演により映画化もされ、数多くの映画賞に輝きました。この珠玉の物語が、近年最も熱い注目を集める藤田俊太郎氏の演出と、最高の俳優たちの共演で上演されます。

演出の藤田氏は「ジャージー・ボーイズ」(’16/’18/‘22)、「天保十二年のシェイクスピア」(’20)、「NINE」(’20)など数々の演出家賞、作品賞に輝いています。2017年からPARCO劇場のレパートリーである朗読劇「ラヴ・レターズ」の演出を手掛け、パルコ・プロデュース作品としては、2017年に「ダニーと紺碧の海」を紀伊國屋ホールで演出しました。

主役ベッカは、22年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」をはじめ、その確かな演技力で近年映像での活躍も目覚ましく、今回が舞台初主演となる宮澤エマさん、夫・ハウイーを演じるのは、作品毎に観客の支持を高め続け、22年度第57回「紀伊國屋演劇賞個人賞」を受賞した成河さん、妹・イジーは、蜷川幸雄の「ネクスト・シアター」が生んだ大型女優、土井ケイトさん。

また、事故を起こした高校生ジェイソンは、人気グループ「7ORDER」のボーカルで舞台等でも多くのファンを魅了する阿部顕嵐さんと、オーディションで抜擢された山﨑 光さんがダブルキャストで演じ、ベッカとイジーの母ナットを、数多くの演出家から厚い信頼を集めるシルビア・グラブさんが演じます。

2023年春、今最も出会いたい再生の物語を、PARCO劇場の50周年イヤーに相応しい素晴らしいキャストと演出で上演されます。

【イントロダクション】
4歳のひとり息子を亡くした若い夫婦ベッカとハウイー。息子は、飼い犬を追いかけて飛び出し、交通事故にあった。ふたりの悲しみへの向き合い方は真逆で、お互いの心の溝は広がるばかり。妻ベッカは、彼女を慰めようとする妹や母親の言動にもイラつき、深く傷ついていく。ある日、事故の車を運転していた高校生ジェイソンから会いたいと手紙が届く。それを読んだベッカは……

悲しみの底から、人はどうやって希望の光を手繰り寄せるのか。人間の希望の本質とは何か。「ラビット・ホール」は、わたしたちの身の回りのありふれた風景や会話から、確かな希望の光を鮮やかに紡ぎ出します。
スマートボーイズではジェイソン役を演じる阿部顕嵐さんに、前後編に渡りインタビューを実施! 前編では本作にかける意気込みや思いについて語っていただきました。

【インタビュー前編】
――まずは本作への出演が決まった際のお気持ちからお聞かせください。

お話をいただいて、すごく光栄だなって思いました。それと同時になんで自分が声をかけていただいたんだろうなって。自分がPARCO劇場に立って、この作品をやることの意味も考えさせられました。まだ答えは出ないですけど。

――なぜ声がかかったかは、聞いてみたりはしなかったんですか...?

聞いてはいないですね。もうとにかくやるのみしかないです。

――本作は交通事故の被害者側と加害者側を描いた作品ですが、映画を見られた感想はいかがでしたか?

心に穴が開いたような、ずっと胸がざわざわする感じの作品。普段見ないジャンルだったので、見ごたえがありました。もし自分がこういうことを起こしてしまったらとか、実際に被害者側になってしまったらどう思うんだろうと、色々考えさせられましたね。
――率直な感想をありがとうございます。演出の藤田さんとお話しはされましたか?

時間を作っていただいて、作品のことはもちろん、アメリカの時代背景から教えていただきました。時代背景を理解するのと、理解しないとでは役作りの仕方が違うので、知識が豊富な藤田さんに、おすすめのDVDや本を貸していただいて、今も持ち歩いています。

当時、僕はまだ生まれてないので、アメリカがどうやってできて、何があったとか、当時の人が使っていた物とか、宗教の自由があるのにアメリカはなぜキリスト教信者が多いなど、知るところから始めています。
――本作にかける気合が伝わってきます。本作では、加害者側のジェイソンを演じられますが、どう捉えてどう演じようと思っていますか?

まだ本読みの段階(取材時)ですが、役について、セリフの1文字1文字からすごく考えます。そして、被害者側の家族と同じ空気感だと家族みたいになってしまうので、ジェイソンが被害者側の家族にとって刺激になるよう、あえてみんなに合わせず、現場に異分子としていることを心がけています。
――Wキャストの山﨑 光さんの印象は?

まだ深くは話せていないのですが、すごく真面目そうな方だなという印象です。藤田さんが同じジェイソンだけど、僕と山﨑くんで違う演出をつけると言っていたので、ダブルキャストで違うジェイソンになりそうで楽しみです。

僕自身ダブルキャストが初めてなので、山﨑くんが舞台に立っている『ラビット・ホール』を見るのが楽しみなんですよ。自分が出ている作品で、自分が演じる役を客席で見ることができるのは、とても嬉しいです。
――意外にもダブルキャスト初経験なんですね。稽古でもお互い得るものがありそうですね。

稽古でお互いの演技を見る機会もあるので、山﨑くんの演技を見ていいなと思う部分もあると思いますが、いい意味で影響は受けないと思います。取り入れると似たようなものになっちゃうと思うので、真似はせずに、僕は僕で自分らしく柔軟にやっていきたいです。
――この作品を見る方に伝えたいメッセージは?

この作品を見て、どう受け取るのかは皆さん次第ですが、5人で繰り広げる会話劇を楽しんでいただけるんじゃないかなと。出演者の誰か一人には共感できる、同じような立場でものを考えられる人がきっといると思います。この作品を通して自分を見つめ直したり、色々考えるきっかけになったら嬉しいです。

繊細で、会話の中にメッセージ性のあるセリフも散りばめられていますが、笑えるシーンもあります。僕らはこの作品に真剣に取り組んで、舞台の上に立つので、見て何かを感じていただけたら嬉しいです。
【後編に続く】

ヘアメイク:礒野亜加梨
衣装クレジット:
〈SWANK〉1990s USA made “Power Bar” print T-shirt ¥9,990、1990s US. NAVY Sweat Pants ¥9,990、〈TimothyLand〉Sweat Tops¥8,800、Vintage VALENTINO Plaid Jacket ¥28,800 (すべてVCM MARKET BOOTH 03-6416-4563)

☆Information
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『ラビット・ホール』
東京公演:2023年4月9日(日)〜25日(火) PARCO劇場
秋田公演:2023年4月28日(金) あきた芸術劇場ミルハス 中ホール
福岡公演:2023年5月4日(木) キャナルシティ劇場
大阪公演:2023年5月13日(土)〜14日(日) 森ノ宮ピロティホール

【作】デヴィッド・リンゼイ=アベアー
【翻訳】小田島創志
【演出】藤田俊太郎
【出演】
宮澤エマ 成河 土井ケイト
阿部顕嵐/山﨑光(ダブルキャスト) シルビア・グラブ

【チケット】
通常:11,000円(税込・全席指定)
U-25:6,000円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書)

イープラス:https://eplus.jp/rabbithole/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/rabbithole/
ローソンチケット:https://l-tike.com/rabbithole/

《公式サイト》
https://stage.parco.jp/program/rabbithole

《公式Twitter》
@parcostage
#ラビット・ホール

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