劇団ナイスコンプレックス第32回本公演、フリーカル『YAhHoo!!!!』2021が6月4日、東京新宿のシアターサンモールにて開幕しました。

今作は、2018年の初演、2019年の再演に続く3度目の上演で、東日本大震災に見舞われ避難指示が出ていた福島県の浪江町を舞台に、ご主人様を待ち続けるも命を落とし、今は妖怪となっている犬のヤンスケと、震災の影響で福島から仙台に移住するも、再び故郷に帰ろうとするヤンスケの飼い主・浜花優治を中心に、残された動物たちと福島の人間たちとの姿を描く物語。

開幕前日に初日挨拶とプレビュー公演が行われ、主演の柏木佑介さん、共演の浅倉一男さん、富田麻帆さん、早乙女じょうじさん、安孫子宏輔さん、渡部大稀さん、原作・演出のキムラ真氏が、初日に向けての意気込みや見どころを語ってくれました。

柏木　僕らの物語は「知っていただく」ということがテーマです。見どころはAチームとBチームのダブルチームキャスティングになっていまして、それぞれグルーヴ感が違っていて、そのあたりが面白いところと、全員の信頼関係が出来ていて、敢えて固めないで本番を迎えています。なのでその場で生まれたものを大切にお客様へ届けることをみんなが意識していますので、どの公演を観ても楽しめると思います。それと、すご～く明るいお話です！ 楽しいお話です！ どうか最後まで応援していただけたら嬉しいです。

浅倉　今回はコロナ禍という状況で劇場に立てる幸せを感じながら歌います。僕自身ネット配信は初めての経験なので、どういう映り方をするのかなと思いながら、やらせていただきます。いろいろな方に全世界の人に観ていただけるこの作品の愛を伝えられたらと思います。ヤンスケとの愛の深さが見どころですけど、2019年から木蔦役の麻帆ちゃんと一緒に演じているので、理想の夫婦感を伝えられたらと思います。

富田　本来なら昨年やりたかった『YAhHoo!!!!』が出来ず、今年やっと上演することが出来て、新しいメンバーを迎え、また新しい『YAhHoo!!!!』をお届けできるのが嬉しいです。今回最後のお祭りのシーンは写真撮影がOKで、初めての試みです。今だからこそできる企画でもあるので、ぜひ観に来て下さった方には「こういう楽しみ方もあるんだ」というプラスにとらえて楽しんでいただけたらと思います。

早乙女　2年前に続いてまたこの作品で同じ役を演じてみて、感じ方が前回と変わったなと思っていて、僕のファンの中にも東日本大震災を経験した方がいまして、中には「震災に関する作品はまだ見たくない」という方もいて、今回は配信があるんですけど、もし嫌な気持になったら途中で配信を止めることも出来ます。僕は福島県出身とはいえ、浪江町のことは知らないですし、この作品を浪江町の方が観た時にどう感じるかと思うとまた別だと思うんですよ。でも福島県出身の人間として、この作品を携わることで、伝えたいことを一つ一つ責任をもって、誠心誠意伝えていきたいです。

我孫子　僕は福島県福島市出身で、高校を卒業した時に震災に遭い、その一か月後に上京しましたが、出身地を胸を張って言えない経験をしました。この作品は「福島はこんなに楽しいんだよ」ということを叫んでいるので、福島県民としてこんなに嬉しい作品はないなと思っています。しかもこんなに心が熱くなる作品もなくて、東北にゆかりのある役者さんや福島出身の役者さんと芝居が出来ることが嬉しく思います。ぜひこのお祭りをたくさんの方に知っていただけたらと思いますし、僕自身この作品に出来ることを全部やろうと思っています。そして劇団ナイスコンプレックスさんがこんなに素敵なんだよと皆さんに知っていただけたら嬉しいです。

渡部　僕自身福島県出身ですが、あの時の震災を経験したからこそ、苦しいセリフがたくさんありまして、稽古中は食い入るようにそのシーンを観ていました。そしてこのご時世だからこそ、より伝えられるものがあると思いますので、皆さんと一緒にこの祭りを盛り上げていけたらと思います。見どころは歌やダンスが多くて、僕たち熱く踊って歌っておりますので、ぜひ楽しみにしていてください。

キムラ　僕も東北の出身で、浪江町は親父が連れてってくれた場所です。10年前に震災があって形が変わって、ここを舞台にどうやったら人が戻ってくるのかというところからこの作品が始まりました。震災で直接被害を受けていない人もいますが、この物語を今年観られる方は、コロナという状況を自分に置き換えて観ていただけたらと思います。制作会社さんや劇団さんはたくさんあるものの、繋がりがないんですけど、今このエンタメというジャンルの人全員が「演劇は悪くない、劇場は危なくない、エンタメは必要だ」という気持ちで、お客様に届けていると思っています。「心が揺さぶられる感動」というジャンルはうちが担うので、それくらいの想いを持ってエンタメ全体でこの状況を笑顔で突破出来たらと思いでやっていきます。

スマートボーイズでは、プレビュー公演(Aグループ)の模様をお届けします。

≪あらすじ≫
福島県、浪江町。
あの日から全く変わらない風景の中、遠い景色に叫ぶ声が聞こえる。

『ヤッホーー!!!!』

その声の主は言われている「もう人間は居ないんだ」

『ヤッホーー!!!!』

「居るよ！だって、僕の声にちゃんと答えてくれるから！」

木霊して返って来るその音を信じて、ヤンスケは今日もご主人様を待っていた。
この物語の主人公の名前は「ヤンスケ」。
千切れた首輪に残された名前。
彼は犬だ。
そして、妖怪である。

急に人間たちが居なくなった場所がある。
残された動物たちは、死んでしまいました。
そして、今日も妖怪として楽しく暮らしています。
あの日から10年。
帰ってもいいよと言われたのに、人間たちは帰って来ません。
妖怪たちは考えました。
そうか、ここが愉しくないから帰って来ないんだ。
ある日、ヤンスケを中心とした妖怪たちはお祭りを開催します。

福島から離れて暮らしていた浜花優治（ハマハナマサジ）は故郷に帰ろうとしていた。
入れるようになった場所に、戻れない現状。
なくなったと思った場所は今も変わらぬ姿で存在する。
ただそこにあるのは、自分の知っている思い出とかけ離れた違和感。
ずっと引きずっている記憶。
残してきた家族に会いたい。

ひかれ合う情の中で、見えない壁が想いを遮る。
また昔に戻る事は出来るのか？昔ってなんだ？
何が起こったらハッピーエンドになるのか？
奇跡を超えた瞬間を、今求めあう。

2021年ナイスコンプレックスが
歌と祭りと演劇ラブで新しい舞台を創造する
復音劇（フリーカル）

フリーカル『YAhHoo!!!!』2021は、6月6日まで東京公演が行われ、6月12日よりチームスマイル・いわきPITにて福島公演が上演。また6月4日にはライブ配信が実施。詳細はInformationから公式サイトをチェックしてください。

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