葉蔵役・笹森裕貴「若い僕らがやることに意味があると思う」×ヨシ子役・佐奈宏紀「言葉で説明できない感情を紐解いていきたい」10/27開幕、桜花浪漫堂 朗読劇『人間失格』SPインタビュー【後編】

桜花浪漫堂 朗読劇『人間失格』が、2023年10月27日より東京・I'M A SHOWにて上演されます。
スマートボーイズでは本作のキャストより、主演で本作の主人公・大庭葉蔵役の笹森裕貴さんと、葉蔵が出会う人物の中では最も重要な女性・ヨシ子 役の佐奈宏紀さんにインタビュー! 本作への意気込みはもちろん、念願の初共演を果たす二人の関係についても、ビジュアル撮影現場に密着したタップリの写真とともに、前後編の2回に渡り語ってもらいました。後編では朗読劇の役作りについても伺いました。(前編はコチラ

【インタビュー後編】
——お二人ともすでに考察が深いですね。では、実際に周りに大庭葉蔵みたいな人がいたら、それぞれどういう風に接しますか?

笹森 人間のその本質的な根幹にある部分って、なかなか見抜けないと思うんですよね。結果的に自分を破滅に導いてしまうかもしれないけど、困ってる人をみかけたら手を差し伸べたいし、弱く脆いものを見た時に、何か自分にできることはないかな? って考えてしまうと思います。葉蔵のように、自分に持ってないものを持ってる人は、なんか魅力的に見えちゃうんですよね。

佐奈 僕はシゲ子(※本作では三森すずこさんが声で出演)ぐらいの距離感になるかな。そこまで人のパーソナルに踏み込まず、ストレスなく関わる、ちょうどいい感じの人になりそう。

——逆にヨシ子みたいな女性がいたら?

佐奈 それこそ綿で怪我するじゃないですけれど、怖くなっちゃうと思います(笑)。
笹森裕貴さん
佐奈宏紀さん
——さて本作は朗読劇として上演されます。朗読劇は役者さんにとって、身体表現ができない部分もありますが、本作ではどう役作りをしていこうと思っていますか?

笹森 動けない分、表現の幅は狭められるので。普段の役作りよりも、緻密に細かく作っていかないと伝わらないだろうって思っています。その分、表情や目線一つなど、細かく注目して見てほしいなと思います。

佐奈 朗読劇は小説を読んでる感覚に近いので、純文学を朗読劇として扱うのはいいなと思っていて。純文学は書かれていることだけでは判断しきれなくて、朗読劇も全部を説明しきらない、その両方があるっていうのが醍醐味で。目をつぶって聞いてもいいし、僕たちから出る些細な動作から読み取ってもいい。目で見えてる情報が少ないから、自分の好きなように思い描けるのが朗読劇だと思うんですよね。
僕がやることは、読みながらの少ない情報で、距離感や、ちょっと息をするだけでも、何か感情がそこにあったんだなって思わせるとか、鳥が飛んだのかなとか、そういう想像させるような余白を作りながら、いろんな景色をイメージするのを意識したいなと思いますね。
——今回の朗読劇は、太宰治の生まれ故郷の津軽を彷彿させる津軽三味線などの和楽器の生演奏にのせて上演されるそうなので、演者さんの声の演技とどう合わさっていくのか、今のお話がいろいろと想像させてくれて楽しみですね。さて、ここまで割りと固い質問が続いたので、人間失格ではなく、逆に「笹森、合格!」「佐奈、合格!」といったエピソードがあれば、聞かせてください。

笹森 僕は、お年寄りに好かれます! これって特殊能力だと思うですけど、年上の方と馴染めなかった経験が人生で1回もなくて。学生時代にコンビニでバイトしていたんですけど、年配のお客さんから特によく話しかけられたり、パートのおばちゃんから差し入れいただいたり。祖父・祖母と住んでいたので、お年寄りと心から楽しんでからんでいる自分に気が付きますね。お年寄りに対しての接し方に関しては、めちゃくちゃうまいと思います。これは笹森合格でしょう(笑)。

佐奈 え〜、僕はもう、今日この猛暑の中(当日気温・38度)、この現場に来れたことが合格かな(笑)。ここにいる全員合格です!
——合格いただきました、ありがとうございます!(笑) 最後に本作への意気込みをお願いします!

佐奈 今、人間が確立してる感情では説明できないものが、この作品にはたくさんあると思っています。なので、パッと読んで、自分の知ってるコトに安直に当てはめるんじゃなくて、言葉で簡単に説明できない感情を、しっかり紐解いて、表現していきたいなと思います。

笹森 今回、主人公を演じさせていただくということで、すごく楽しみでもあり、不安もあるんですけれども、2023年に若い役者が集まって、この作品を朗読劇でお届けするってなんか運命的なものをすごく感じています。意味のない物事ってないと思っているので、今、僕らがやることに意味があると思うし、それを見に来てくださる方で、原作を知っている方も知らない方も、その人たちの状況や気持ちによって受け取り方が変わる作品であるので……板に上に立ってやる僕らにとっても同じ公演は一つもない、毎回違う公演になります。ぜひその奇跡的な現場を目撃していただけたら、と思っています。

インタビュー了。
☆Information
桜花浪漫堂 朗読劇『人間失格』
2023年10月27日(金)〜30日(月) I'M A SHOW

【原案】『人間失格』太宰治
【脚本・演出】吉田武寛

【出演】
大庭葉蔵:笹森裕貴

堀木正雄・マダム:井澤勇貴
竹一・ツネ子:平賀勇成

シヅ子(Wキャスト):北村健人/伊藤昌弘

ヨシ子:佐奈宏紀

シゲ子(声の出演):三森すずこ
ヒラメ・父親(声の出演):難波圭一

津軽三味線:小山清雄
尺八:瀧北榮山
Key.:山本真央
Key. ※10月28日(土)のみ:KeiTaro

【チケット】
S指定席(前方7列、特典付き):11,000円(税込)
S指定席(見切れ)(前方7列、特典付き):11,000円(税込)
A指定席:7,700円円(税込・全席指定)
イープラス:https://eplus.jp/nolongerhuman/

《公式サイト》
https://hikosen.co.jp/oukaromando/nolongerhuman/caststaff/

©︎桜花浪漫堂

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